JCA cr96071

あらまし

災害は，鉄筋コンクリート造８階建てのマンションの建設現場において，クライミングクレーン（つり上げ荷重１.８ｔ，高さ３０ｍ，ジブ長さ２０ｍ）により荷をつり上げたときに発生した．
災害発生時の作業は，３階の型わく支保工の組立のため型わく用の合板（１８０ｃｍ×４５ｃｍ，厚さ２ｃｍ，重量６ｋｇ）を地上から３階の床上に移動させるものであった．建築中の建物の脇に準備されていた合板をつり上げるため，作業員Ａは３段目の足場上から，無線操作式のコントローラーでクレーンを運転し，旋回と伏せの動作を同時に行い，ジブを下限まで倒し，準備された合板の上まで旋回させた．
その後フックを巻下げ，合板のそばで待機していた作業員Ｂが合板４０枚（重量２４０ｋｇ）を玉掛けし，荷を５ｍほど巻き上げたところ，ジブが根元付近で折れ曲がり，クライミングクレーン上部からぶら下がるように落下し，同時につり荷も落下した．
幸い，作業員Ｂは，落下直前にその場を離れていたため無事であった．
事故後，このクレーンの制御盤を調査したところ，ジブの起伏角度を制限する安全装置（ジブ起伏角制限装置）が解除されていた．