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あらまし |
事故は砂防ダム(堤高14m,堤長87m)建設工事現場において発生した.
事故発生当日は,前日まで行っていたダム躯体のコンクリート打設作業が一応終了したので,ホイールクレーン(つり上げ荷重35t)を使用して側堤天場の埋め戻し作業を行うことになっていた.
クレーンは,約4mの高さに積み上げた石積みの上に,更に約1mの土砂を敷きつめた作業土場に設置し,アウトリガーは85cmの正方形,厚さ3.4cmの鉄板を敷板として使用したが,左側後方のアウトリガーは作業土場の法肩から約50cm離れた位置にあった.
主ジブを最大限の35mまで伸ばして傾斜角を70度とし,その先端に長さ8mの補助ジブを45度の角度で取り付けたクレーンにより,ビニールシート張りのワイヤモッコ(重量約70kg)に入れた約300kgの埋戻土をつり上げ,約30m離れた側堤天場の埋戻し部に卸そうと左方向に約180度旋回して,主ジブの角度を下げたところ,運転席のディスプレイ上に危険メッセージの表示と警報ブザーが鳴り始めた.
と同時に,クレーン左側後方のアウトリガー張出し部が土中に沈下しはじめ,機体が左側に倒れ始めた.
クレーン運転士はあわてて主ジブ角度を上げて,右旋回しようとしたが,クレーンはゆっくり左側に倒れてしまった.
クレーンの主ジブはダム側堤の天場に当たって,3段目と4段目の接続部から折損したが,運転士はハンドルにつかまっていたため無事であった.
なお,事故時のクレーンの作業半径は30mであり,このときの定格荷重は1.24tから0.7tの範囲にあり,現場は作業前日に降雨があった.
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