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あらまし |
災害が発生したときの工事は,農道整備工事のうち道路上に新たに横断溝を敷設し,また,既存の側溝に傾斜をつけるものであり,災害発生前日までに,側溝及び横断溝へのU字溝の敷設,すきまへのコンクリートの充填等の作業が終了していた.
横断溝を敷設する道路上には,横断溝の養生と一般通行車両の安全確保のために,鉄板1枚(長さ3m,幅1.5m,質量800kg)が敷いてあったが,災害発生当日これを撤去するため,被災者は車両積載形トラッククレーンを現場に運転してきて,鉄板が運転席の前方にくるような位置に設置した.
当該鉄板をつり上げるため,作業者の1人がバールを使用して鉄板の先端を少し持ちあげ,被災者はジブの先端を鉄板の位置まで伸ばして,鉄板に設けられた穴に両端アイ付きの玉掛けワイヤロープを通し,両端のアイをフックにかけて玉掛けした.続いてつり荷の鉄板を地切りした後,手前方向に引き寄せたところ荷が揺れたため,一旦地面に卸した.その後,再び荷をつり上げて右旋回させ,道路右側のガードレール上を通過したが,この時車体が右側(ガードレール側)ヘ少し傾いた.
アウトリガーを最大限まで張り出していないことに気付いた現場監督代理人は運転を中止するように注意したが,被災者はそのまま旋回を続けたため,クレーンが右側に転倒し,その下敷きとなって死亡した.
転倒時のクレーンは,ジブの長さが最長の7.69m,ジブの角度は45度,作業半径は5.4mであり,また,アウトリガーは左右ともに最小張り出しの状態であったが,左側アウトリガーの垂直シリンダーは右側と比較して極端に伸びていた.
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