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原 因 |
本災害の直接原因であるワイヤロープ(以下「ロープ」という.)の切断は,次のような経過をたどって発生したものと推測される.
- クレーン運転士が操作未熟で,フックを荷台に置いたまま無負荷の状態で巻下げたため,ドラムのロープが緩んで乱巻きの状態となり,そのまま荷をつり上げたことから,張力のかかったロープがドラムに巻きとられた箇所で重なり合って締め付けられ,形くずれが起こっていたものと思われること.
- ロープが形くずれしたまま巻き上げ,巻き下げを繰り返すうちにロープの一部がリング状となってフランジから飛び出してドラムに巻れき取られ,さらにドラムが回転していくうちに,リング状になったロープがロープガイドの間に入り込み,ピニオンとギアの噛合い部にまで巻き込まれていたこと.このような状態で作業が繰り返されていったため,ロープの素線が徐々に切断されたものと推定される.
なお,ギヤとピニオンの噛み合い部がロープの入り込むことを完全に防止する構造となっていなかったこと.
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対 策 |
- 移動式クレーンの運転の業務において新たな機種等の運転に従事させる場合には,操作方法,移動式クレーンの特性等について十分に教育したのち従事させること.
- 移動式クレーン作業の途中で,何らかの異常を認めた場合には,直ちに使用を中止し,原因を把握すること.
- 本災害は油圧モータの動力を伝達する平歯車減速機の歯車部分にワイヤロープが入り込む余地のある構造であったことから,製造事業者はロープガイドを改良する等により,ワイヤロープが入り込まない構造とすること.
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