クレーンの災害事例
CR98011
事  例

ホイルクレーンが転倒

[原因と対策]
業  種 建設業 機  種 ホイールクレーン
被  災 なし 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし ビルの屋上に看板を設置する工事において,災害発生当日の午前中にトラックで現場に搬入されてきた材料を移動式クレーン(ホイールクレーン,つり上げ荷重30t)により屋上に荷揚げした.
午後の作業は,ビルと平行に設置してあるクレーンを約3m移動させ,そのあとに看板の組み立てに使用する高所作業車を設置した.
移動させたクレーンは,ビル側のアウトリガーを全張出しとし,反対側のアウトリガーは最小張出しとしていたが,過負荷防止装置の作動設定条件としてはアウトリガーを両方とも中間張出しの状態として入力していた.
午後4時過ぎに看板の取り付け作業が終了したので,クレーンの補巻を用いて屋上から発電機,工具類,シート類等を荷卸しする作業に取りかかった.まず,屋上にある工具類(重量約200kg)をワイヤーモッコに入れてフックに掛け,ジブを起こしながら,荷を巻き上げ,さらに右旋回し,向かい側の道路上に停めてあるトラックの荷台に荷を卸そうとしてジブを下げはじめたところ,突然クレーンが傾き,隣のビル倒れかかった.
転倒したクレーンは,ジブの先端部がビルの屋上に乗りかかった状態で止まり,つり荷はトラックの荷台上に落下した.このときのクレーンは,ジブの長さ34m,ジブの傾斜角57゜,作業半径18mであったが,アウトリガーの張り出し具合からジブ角度は危険角度を下回りクレーン作業ができない領域に入っていた.
なお,当日の作業の段取りについては,現場代理人から作業内容等の説明はなされていたが,クレーン作業にかかる作業方法等については特段の指示はなされていなかった.
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