クレーンの災害事例
CR98041
事  例

荷をつったまま移動式クレーンを走行させ転倒

[原因と対策]
業  種 建設業 機  種 クローラクレーン
被  災 なし 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし マンションの新築工事現場において,1階床面部のコンクリート打設作業を行うため,生コンクリートを入れたホッパーをクローラークレーン(つり上げ荷重65t)でつり上げたまま前進移動させたところ,クレーンが前方に転倒した.
事故発生当日の作業は,基礎掘削部のコンクリート打設作業,基礎部鉄筋の組立作業及び基礎部外回りの埋め戻し作業であり,コンクリート打設作業は生コン車で現場に運ばれてきた生コンクリートを,打設用ゴムホース(長さ7m)が取り付けられたコンクリートホッパー(容積2.5m ,重量約970kg)に入れ,クローラクレーンでつり上げて所定の場所に運搬し打設するものであった.
移動式クレーンの運転士Aは,現場作業指揮者と協議のうえホッパーをクレーン正面から右側に110度旋回させた所に置き,コンクリート打設作業責任者Bの合図により生コンを8割程度入れたホッパーを,ホッパーからつり下げられたゴムホースの下端が地面から若干上がったところまで巻き上げ,つづいて左側に約70度旋回させたが,コンクリート打設位置にまで届かなかったため,BはAにジブを下げるように指示し,ホッパーをさらに前方に移動させようとした.Bはゴムホースの端部を持って打設位置まで歩いて行ったが,クレーンの外部表示灯が警戒信号に変わっていることに気づき,ジブの下げ操作を止めるようAに連絡した.
AはBの指示に従ってジブをその位置に止めたが,それでもホッパーの位置が打設位置に届かなかったため,クレーンをもう少し前方に動かした方がよいと考え,Bと相談してホッパーをつり上げたままクレーン本体を前進させることとした.ところが約50cm前進させたところ,クレーンが前方に傾き始めたのでこのままでは倒れてしまうと思い,ジブを起こしながら同時に後方に移動させた.このとき,クローラの先端部分が地盤にめり込んでクレーンは前方に転倒し,ジブで高圧電線を切断するとともにジブ先端が近くの駐車場に止めてあった乗用車2台に激突した.
この時のクレーンの作業半径は18m,ジブ傾斜角は65度,定格荷重5.7t,つり荷の重量は5.6tであり,クローラは最大張り出しの状態であった.
 
 
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