クレーンの災害事例
CR98061
事  例

移動式クレーンに轢かれ

[原因と対策]
業  種 建設業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 機体にひかれて挟圧
 
あらまし 本災害は,川に設けられた堰堤の一部を壊し,その部分に新しく水門を建設する工事において,水門建設に使用した仮設囲のH形鋼を搬出する作業中に発生したものである.
災害発生当日の作業は,既に撤去して河川敷の川岸に沿って置いてあるH形鋼を移動式クレーン(ホイールクレーン,つり上げ荷重25t)により2台のトラックに積み込むものであった.
作業は,まず上流側に置いてあるH形鋼を積載荷重11tのトラックに積み込むため,移動式クレーンを作業場所の下流側から河川敷内に前進で進入させ,上流側H形鋼近くに設置し,次いでトラックを後進してクレーンの近くに停めた.
作業分担は,特に指示や打ち合わせもしないまま作業員A(被災者)とBが玉掛け作業を,トラック運転手Cと作業員Dはトラックの荷台に乗り込んでH形鋼の受け取り作業に従事した.上流側に置かれたH形鋼の積み込みが終了し,CとDはトラック上で積み荷の落下防止のための固定作業を行った.
続いて下流側のH形鋼を積み込む作業に移ろうとしたが,11tトラックへの積み込み時に使用した玉掛けワイヤロープがH形鋼の下敷きとなって抜き取れなかったため,Aは次ぎの作業に使用する玉掛け用として,現場にあったワイヤロープをアイ加工しようとして,クレーンとトラックとの間のクレーン本体から川下へ約1m離れた場所にしゃがみ込んで作業を始めた.
一方,移動式クレーンは,下流側のH形鋼の積み込み場所へ移動させるため,アウトリガー及びジブを収納し,ジブをクレーン本体の後方に向けて待機していた.
積み荷の固定を終えたトラックはCが運転して現場を離れたため,移動式クレーンの運転士がクレーンを次の積み込み先である下流側に動かしたところ,機体の前にしゃがみ込んでワイヤロープのアイ加工をしていたAを轢いてしまった.
cr98061.gif
 
 
[ホーム]