クレーンの災害事例
CR98071
事  例

ロープが切断し,つり荷が落下

[原因と対策]
業  種 建設業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の転倒による挟圧
 
あらまし 本災害は,玉掛け用ワイヤロープ両端のアイにトラロープを通して結び玉掛けしたH型鋼(長さ7m,重量1,3t)を,移動式クレーン(ホイルクレーン,つり上げ荷重10t)でつり上げたところトラロープが切断し,玉掛けワイヤロープが外れたためつっていたH型鋼が落下し,被災者の頭部に当たって死亡したものである.
災害のあった建設工事は,法面に吹き付けられているコンクリートモルタルをはがし,法枠を施工するものであり,災害発生当日の作業はクレーンでH型鋼を建て込み,これに鉄板を溶接するものであった.建て込み作業の手順は,まず,建て込むための穴を掘り,現場に仮置きされているH型鋼を移動式クレーンでつり上げ,玉掛けワイヤロープに結んであるトラロープを引っ張って垂直にしたのち所定の穴に建て込み,さん木で仮固定し,穴に砂を入れて締め固めH型鋼を固定するものであった.
このときの玉掛けは図のように1箇所だけで,両端アイ付きのワイヤロープを中央部で二つに折り曲げ,アイ取り付け側のワイヤロープを両方ともH型鋼の下を通し,反対側はそのままフックに掛け,さらに,トラロープを両方のアイに通してワイヤロープと結んでいた.
災害発生時までに同様の玉掛け方法で既に8本の建て込みを終り,9本目のH型鋼を巻き上げようとしたとき,トラロープが切れてワイヤロープがばらけ,つっていたH型鋼が建て込み作業のために待機していた被災者の頭部に落下し死亡した.
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