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あらまし |
本災害は,被災者が天井クレーン(無線操作方式,つり上げ荷重4.9t)を運転してヒューム管の運搬作業を行っていたところ,専用つり具の移動方向を誤って操作し自分の方に移動させてしまったため,つり具とヒューム管との間に挟まれ死亡したものである.
被災者の所属する事業場は,コンクリート製品製造業であるA社においてヒューム管等の出荷と運送の業務を請け負うものであり,災害発生当日は被災者が天井クレーンを無線操作し,ヒューム管を同僚の運転するトラックに積み込む作業を行っていた.クレーンには左右対称に取り付けたアームにヒューム管を引っ掛けてつり上げる構造の専用つり具(重量1.35t)が装備されており,当該積み込み作業は約1時間後に終了した.
引き続いて,被災者はヒューム管置き場に残された積み込み予定のないヒューム管を整理しておこうと,既に数段の高さに整理して積み上げられたヒューム管を背にし,つり具との間に立ってクレーンを前方に動かそうとしたところ,誤って逆の運転ボタンを操作したためつり具が被災者の方に移動してきて,被災者はつり具とヒューム管とに挟まれ死亡した.
なお,被災者は雇われてから日が浅く,これまでにクレーン等の運転経験がなく,また特別教育等も受けていなかった.
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