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あらまし |
本災害は,トラッククレーン(つり上げ荷重35t)により荷をつり上げていたところ,ジブ起伏用のワイヤロープが突然切断し,玉掛けの補助作業を行っていた被災者が倒れてきたジブの下敷きになったものである災害の発生した事業場は,工場内に保管されている製品(鋼板,コイル等)をトラックや船に積み込む作業を行う貨物取扱業であり,災害発生時にはコイル10個をトレーラーに積み込むため,被災者ら7名が作業に従事していた.この時の被災者の作業は,玉掛技能講習修了者であるAとともにAの指示によりコイルが置いてある場所で玉掛けの補助を行っていた積み込むコイルは1tと3.7tの2種類があり,先ず1tのコイル4個をトレーラーに積み込み,次に3.7tのコイルを積み込むためにトラッククレーンを少し移動させた後に積み込み作業を開始したが,被災者とAはそのトラッククレーンの後方で3.7tのコイルを玉掛けを行った.続いてジブの「倒し」と併せて右方向への旋回をさせようとしたところ,ジブ起伏用ワイヤロープが突然切断し,玉掛けの補助作業をしていた被災者が倒れてきたジブの下敷きとなった.
災害発生時におけるつり荷の質量は定格荷重以下であり,安全装置も正常に作動する状態であったが,ワイヤロープについては約10ヶ月前に行われた性能検査にあたり新品と交換した後は,そのまま使用し続けていたため素線切れ等が発生していた.なお,グリスの補給や月例点検は行われていなかった.
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