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あらまし |
本災害は,ガラス温室の鉄骨組み立て作業において,クローラクレーン(つり上げ荷重2.9t)を使用し,梁材をつり上げ旋回していたところ,同クレーンが転倒しジブが被災者に激突したものである.
災害発生当日,被災者が等辺山形鋼21本(質量150kg)の玉掛けをし,同僚がクレーンを運転して部材置き場に下ろす作業を行うことになっていた.つり荷を巻き上げるために,一旦,地切りをしたとき,被災者は玉掛けワイヤロープが緩んでいるのに気づいたので,直ちに同僚の運転者に知らせたが,運転者は「危険だから気をつけるように」と被災者に注意を促しただけで運転を続行した.その後,ジブを約150度右旋回させたところ,クレーンが倒れはじめ,その方向にいた被災者にジブが激突した.
クレーンが転倒したときの定格荷重は160kgであり,つり荷の質量150kgはその範囲内にあったが,地盤が湿潤で軟弱であったこと,荷が振れたこと等により転倒に至ったものと推定される.
当該クレーンのつり上げ荷重は2.9tであるため,過負荷防止装置は取り付けられていなかったが,これに代わるものとして荷重計を備えていたものの故障したままの状態になっていた.なお,クレーンのアウトリガーは張り出していなかった.
クレーンの運転をしていた作業者は移動式クレーン運転にかかる資格を持っておらず,また,被災者は玉掛技能講習を修了していなかった.
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