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外国人労働者に対する技能講習の実施について |
都道府県労働局長殿 |
基発第477号 |
厚生労働省労働基準局長 |
平成8年7月23日 |
経済社会の国際化の進展、平成元年12月の「出入国管理及び難民認定法」の改正、平成5年4月の技能実習制度の導入等により、日系人、技能実習生等を中心に、我が国に入国、在留する外国人労働者が多数にのぼっているが、これらの労働者の中には、労働安全衛生法第61条に定める就業制限業務に就こうとする者もあり、これらの者に対し、技能講習の受講機会の提供及び適切な技能講習の実施が求められている状況にある。
このような状況に鑑み、貴局管内の指定教習機関が日本語の理解力が十分でない外国人労働者に対する技能講習を実施する場合には、各種技能講習規程の施行に係る通達のほか、別添「外国人労働者に対する技能講習実施要領」により、適切な技能講習が実施されるよう指導されたい。
なお、本省においては、外国人労働者に対し技能講習を実施することのできる指定教習機関を整理の上、周知を図ることとしているので、実施可能な機関として業務規程の認可を行った場合等には、随時、当該機関の実施する技能講習の種類及び実施可能な外国語の種類を本省安全課あて報告されたい。
おって、技能講習を修了した外国人労働者を当該就業制限業務に就かせようとする事業者に対しては、「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」(平成5年5月26日付け基発第329号・職発第414号・能発第128号)の第3の3に定める安全衛生の確保に係る事項が徹底されるよう指導されたい。
別添
外国人労働者に対する技能講習実施要領
1 本要領の趣旨
本要領は、日常生活に必要な日本語の理解力を有するが、専門的、技術的な事項に関する日本語の理解力が十分でない外国人労働者(以下単に「日本語の理解力が十分でない外国人労働者」という。)に対して、その日本語の理解力に配慮した技能講習が適切に実施されるようにするために定めるものである。
2 技能講習の実施
日本語の理解力が十分でない外国人労働者に対して行う技能講習は、労働安全衛生法第61条に定める就業制限業務に係る技能講習に限ることとし、次により実施すること。
(1) 外国人労働者向けコースの設置
日本語の理解力が十分でない外国人労働者に対して技能講習を行う場合には、原則として外国人労働者向けコースを別途設置すること。
(2) 通訳の配置
講師が外国語に堪能でない場合には、通訳を配置して行うこと。
なお、通訳は、当該技能講習の講習科目に関する専門的、技術的な知識を有している者が望ましいこと。
(3) 講習時間
通訳を配置して技能講習を実施する場合には、通訳に要する時間は、各技能講習規程に定める学科講習に係る講習時間に含めないこと。
なお、通訳に要する時間は、通訳の速度を考慮の上、日本語による技能講習の内容をそのまま訳すのに過不足のない時間とすること。
(4) 修了試験
イ 修了試験問題の程度は、通常の技能講習におけるものと同等のものとすること。
ロ 修了試験のうち学科試験は、原則として筆記試験により行うこと。
ハ 筆記試験は、原則として試験問題を外国語に翻訳して行うこととするが、試験問題を外国語で読み上げ、受講者に解答させる方法としても差し支えないこと。この場合、試験の適正な実施に十分留意すること。
(5) 適切な教材の使用
外国語によるテキスト、模型及びOHP、ビデオ等の視聴覚教材の活用に努めること。
なお、外国語による技能講習の補助テキストについて、現在、逐次関係団体において作成しているところであること。
3 技能講習修了証の発行
(1) 氏名の欄は、旅券又は外国人登録証明書に記載されている氏名を記入すること。
(2) 本籍地の欄は、国籍を記入すること。
4 業務規程の変更
日本語の理解力が十分でない外国人労働者を対象として、技能講習を実施する指定教習機関は、業務規程に定める事項のうち、技能講習の時間及び方法に関する事項、技能講習の受講料等に関する事項等必要な事項について変更を行い、所轄都道府県労働基準局長の認可を受ける必要があること。
なお、通訳を配置して技能講習を行う場合には、技能講習の時間及び方法に関する事項として、その旨及び通訳に要する時間を記載すること。
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