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(1) |
準備期間中に実施すべき事項 |
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ア |
WBGT値の把握の準備 |
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日本産業規格JISZ8504又はJISB7922に適合したWBGT値測定器を準備し,点検すること。黒球がないなど日本産業規格に適合しない測定器では,屋外や輻射熱がある屋内の作業場所で,WBGT値が正常に測定されない場合がある。 |
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イ |
作業計画の策定等 |
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夏季の暑熱環境下における作業に対する作業計画を策定すること。作業計画には,新規入職者や休み明け労働者等に対する熱順化プログラム,WBGT値に応じた十分な休憩時間の確保,WBGT基準値(別紙表1)を大幅に超えた場合の作業中止に関する事項を含める必要がある。 |
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また,熱中症の症状を呈して倒れた場合等を想定したリスクアセスメントに基づく措置も考慮すること。 |
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ウ |
設備対策の検討 |
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WBGT基準値を超えるおそれのある場所において作業を行うことが予定されている場合には,簡易な屋根の設置,通風又は冷房設備の設置,ミストシャワー等による散水設備の設置を検討する。ただし,ミストシャワー等による散水設備の設置に当たっては,湿度が上昇することや滑りやすくなることに留意する。また,既に設置している冷房設備等については,その機能を点検する。 |
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エ |
休憩場所の確保の検討 |
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作業場所の近くに冷房を備えた休憩場所又は日陰等の涼しい休憩場所の確保を検討する。当該休憩場所は横になることのできる広さのものとする。 |
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オ |
服装等の検討 |
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熱を吸収し又は保熱しやすい服装は避け,透湿性及び通気性の良い服装を準備すること。身体を冷却する機能をもつ服の着用も検討する。また,直射日光下における作業が予定されている場合には,通気性の良い帽子,ヘルメット等を準備する。 |
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なお,事業者が業務に関連し衣類や保護衣を指定することが必要な場合があり,この際には,あらかじめ衣類の種類を確認し,WBGT値の補正(別紙表2)の必要性を考慮すること。 |
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カ |
教育研修の実施 |
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各級管理者,労働者に対する教育を実施する。教育は,別紙表3及び別紙表4に基づき実施する。 |
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教育用教材としては,厚生労働省ホームページに公表されている「職場における熱中症予防対策マニュアル」及び熱中症予防対策について点検すべき事項をまとめたリーフレット等,環境省熱中症予防情報サイトに公表されている熱中症に係る動画コンテンツ及び救急措置等の要点が記載された携帯カード「熱中症予防カード」などを活用する。 |
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なお,事業者が自ら当該教育を行うことが困難な場合には,関係団体が行う教育を活用する。 |
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キ |
労働衛生管理体制の確立 |
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事業者,産業医,衛生管理者,安全衛生推進者又は衛生推進者が中心となり,10の(1)から(3)までに掲げる熱中症予防対策について検討するとともに,事業場における熱中症予防に係る責任体制の確立を図る。 |
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現場で作業を管理する者等,衛生管理者,安全衛生推進者等以外の者に熱中症予防対策を行わせる場合は,上記カの教育研修を受けた者等熱中症について十分な知識を有する者のうちから,熱中症予防管理者を選任し,同管理者に対し,10の(2)のクに掲げる業務について教育を行う。 |
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ク |
緊急事態の措置 |
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事業場において,労働者の体調不良時に搬送を行う病院の把握や緊急時の対応について確認を行い,労働者に対して周知する。 |
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(2) |
キャンペーン期間中に実施すべき事項 |
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ア |
WBGT値の把握 |
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WBGT値の把握は,日本産業規格に適合したWBGT値測定器による随時把握を基本とすること。その地域を代表する一般的なWBGT値を参考とすることは有効であるが,個々の作業場所や作業ごとの状況は反映されていないことに留意する。特に,測定方法や測定場所の差異により,参考値は,実測したWBGT値よりも低めの数値となることがあるため,直射日光下における作業,炉等の熱源の近くでの作業,冷房設備がなく風通しの悪い屋内における作業については,実測することが必要である。 |
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地域を代表する一般的なWBGT値の参照:
環境省熱中症予防情報サイトhttps://www.wbgt.env.go.jp/
建設現場における熱中症の危険度の簡易判定のためのツール:建設業労働災害防止協会ホームページ
http://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/leaflet/files/heat_stroke_risk_assessment_chart.pdf |
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イ |
WBGT値の評価 |
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WBGT値(実測又は作業場所に合わせて補正したもの)は,別紙表1のWBGT基準値(別紙表2により衣類の補正をしたもの)に照らして評価し,熱中症リスクを正しく見積もること。WBGT基準値を超え又は超えるおそれのある場合には,WBGT値の低減をはじめとした以下ウからオまでの対策を徹底する。 |
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ウ |
作業環境管理 |
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(ア) |
WBGT値の低減等 |
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10の(1)のウで検討したWBGT値の低減対策を行う。 |
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(イ) |
休憩場所の整備等 |
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10の(1)のエで検討した休憩場所の設置を行う。休憩場所には,氷,冷たいおしぼり,水風呂,シャワー等の身体を適度に冷やすことのできる物品及び設備を設ける。また,水分及び塩分の補給を定期的かつ容易に行うことができるよう飲料水,スポーツドリンク,塩飴等の備付け等を行う。 |
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エ |
作業管理 |
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(ア) |
作業時間の短縮等 |
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10の(1)のイで検討した作業計画に基づき,WBGT基準値に応じた休憩等を行うこと。測定したWBGT値がWBGT基準値を大幅に超える場合は,原則として作業を行わないこととする。WBGT基準値を大幅に超える場所で,やむを得ず作業を行う場合は,次に留意して作業を行う。 |
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① |
単独作業を控え,10の(1)のイを参考に,休憩時間を長めに設定する。 |
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② |
管理者は,作業中労働者の心拍数,体温及び尿の回数・色等の身体状況,水分及び塩分の摂取状況を頻繁に確認する。なお,熱中症の発生しやすさには個人差があることから,ウェアラブルデバイスなどのIoT機器を活用することによる健康管理も有効である。 |
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(イ) |
熱への順化 |
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熱への順化の有無が,熱中症の発生リスクに大きく影響することから,7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くすることが望ましい。特に,新規採用者等に対して他の労働者と同様の暑熱作業を行わせないよう,計画的な熱順化プログラムを組むこと。 |
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なお,夏季休暇等のため熱へのばく露が中断すると4日後には順化の顕著な喪失が始まることに留意する。 |
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熱への順化ができていない場合には,特に10の(2)のエのアに留意の上,作業を行う。 |
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(ウ) |
水分及び塩分の摂取 |
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労働者は自覚症状の有無にかかわらず,水分及び塩分の作業前後の摂取及び作業中の定期的な摂取を行う。管理者は,労働者の水分及び塩分の摂取を確認するための表の作成,作業中の巡視における確認などにより,労働者からの申出にかかわらず定期的な水分及び塩分の摂取の徹底を図る。 |
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なお,尿の回数が少ない又は尿の色が普段より濃い状態は,体内の水分が不足している状態である可能性があるので留意する。 |
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(エ) |
服装等 |
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10の(1)のオで検討した服,帽子,ヘルメット等を着用する。必要に応じて,通気性の良い衣類に変更する。 |
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オ |
健康管理 |
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(ア) |
健康診断結果に基づく対応等 |
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熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある次のような疾病を有する者に対しては,医師等の意見を踏まえ配慮を行う。 |
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①糖尿病,②高血圧症,③心疾患,④腎不全,⑤精神・神経関係の疾患,⑥広範囲の皮膚疾患,⑦感冒等,⑧下痢等 |
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(イ) |
日常の健康管理等 |
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当日の朝食の未摂取,睡眠不足,前日の多量の飲酒,体調不良等が熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることについて指導を行うとともに,当日の作業開始前には,労働者に対し,当日の朝食の未摂取,睡眠不足,前日の多量の飲酒,体調不良等の健康状態の確認を行い,必要に応じ作業の配置換え等を行う。また,熱中症の具体的症状について労働者に教育し,労働者自身が早期に気づくことができるようにする。 |
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(ウ) |
労働者の健康状態の確認 |
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作業開始前に労働者の健康状態を確認する。作業中は巡視を頻繁に行い,声をかけるなどして労働者の健康状態を確認する。また,複数の労働者による作業においては,労働者にお互いの健康状態について留意するよう指導するとともに,異変を感じた際には躊躇することなく周囲の労働者や管理者に申し出るよう指導する。 |
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カ |
労働衛生教育 |
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10の(1)のカの教育研修については,期間中,なるべく早期に機会をとらえて実施する。特に別紙表4に示す内容については,雇入れ時や新規入場時に加え,日々の朝礼等の際にも繰り返し実施する。 |
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キ |
異常時の措置 |
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少しでも本人や周りが異変を感じた際には,必ず,一旦,作業を離れ,病院に搬送するなどの措置をとるとともに,症状に応じて救急隊を要請する。なお,本人に自覚症状がない,又は大丈夫との本人からの申出があったとしても,明らかに熱中症の症状を呈している場合は,病院への搬送や救急隊の要請を行う。病院に搬送するまでの間や救急隊が到着するまでの間には,必要に応じて水分・塩分の摂取を行ったり,全身をタオルやスプレー等で濡らして送風したり,あおいで体表面からの水分蒸発を促進すること等により効果的な体温の低減措置に努める。その際には,一人きりにせずに誰かが様子を観察する。 |
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ク |
熱中症予防管理者等の業務 |
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衛生管理者,安全衛生推進者,衛生推進者又は熱中症予防管理者に対し,次の業務を行わせること。 |
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(ア) |
作業に応じて,適用すべきWBGT基準値を決定し,併せて衣類に関しWBGT値に加えるべき補正値の有無を確認すること。 |
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(イ) |
10の(2)のウのアのWBGT値の低減対策の実施状況を確認すること。 |
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(ウ) |
入職日,作業や休暇の状況等に基づき,あらかじめ各労働者の熱への順化の状況を確認すること。 |
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(エ) |
朝礼時等作業開始前において労働者の体調を確認すること。 |
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(オ) |
作業場所のWBGT値の把握と結果の評価を行うこと。 |
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評価結果に基づき,必要に応じて作業時間の短縮等の措置を講ずること。 |
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(カ) |
職場巡視を行い,労働者の水分及び塩分の摂取状況を確認すること。 |
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(3) |
重点取組期間中に実施すべき事項 |
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ア |
作業環境管理 |
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10の(2)のウのアのWBGT値の低減効果を再確認し,必要に応じ追加対策を行う。 |
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イ |
作業管理 |
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(ア) |
期間中に梅雨明けを迎える地域が多く,急激なWBGT値の上昇が想定されるが,その場合は,労働者の熱への順化ができていないことから,WBGT値に応じた作業の中断等を徹底する。 |
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(イ) |
水分及び塩分の積極的な摂取や熱中症予防管理者等によるその確認の徹底を図る。 |
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ウ |
健康管理 |
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当日の朝食の未摂取,睡眠不足,体調不良,前日の多量の飲酒等について,作業開始前に確認するとともに,巡視の頻度を増やす。 |
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エ |
労働衛生教育 |
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期間中は熱中症のリスクが高まっていることを含め,重点的な教育を行う。 |
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オ |
異常時の措置 |
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異常を認めたときは,躊躇することなく救急隊を要請する。 |
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(注) 上記の別添実施要綱の表1から表4までは,掲載を省略しています。 |
なお,厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp>ホーム>報道・広報>報道発表資料>2020年3月)に令和2年3月25日付け報道発表資料「令和2年度「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施します」が掲載されており,次の資料がありますのでご覧ください。 |
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■別添資料1 令和2年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン概要及び実施要綱」 |
■別添資料2 「2019年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(2020年1月15日時点速報値)」 |