通 達
石綿ばく露防止対策の推進について
関係団体の長 殿
都道府県労働局長 殿
基発0113第5号
基発0113第4号
厚生労働省労働基準局長 令和4年1月13日
基発0113第5号
令和4年1月13日
関係団体の長 殿

厚生労働省労働基準局長

石綿ばく露防止対策の推進について
 
 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)は、平成17年2月24日に公布され、石綿則及び関連通達等に基づき石綿ばく露防止対策を図ってきたところですが、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第134号)、石綿障害予防規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第96号)及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第3号)がそれぞれ令和2年7月1日、令和3年5月18日、令和4年1月13日に公布されたことを踏まえ、別添により都道府県労働局長に示したとおり、今後の石綿ばく露防止対策を推進することとしたので、貴団体におかれましても、この趣旨を御理解いただくとともに、会員企業その他関係者に対する本通知の内容の周知に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
基発0113第4号
令和4年1月13日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
石綿ばく露防止対策の推進について
 
 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)は、平成17年2月24日に公布され、石綿則及び関連通達等に基づき石綿ばく露防止対策を図ってきたところであるが、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第134号。以下「令和2年改正省令」という。)、石綿障害予防規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第96号)及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第3号)がそれぞれ令和2年7月1日、令和3年5月18日、令和4年1月13日に公布されたことを踏まえ、今後の石綿ばく露防止対策を下記により推進することとしたので、その実施に遺憾なきを期されたい。
 なお、平成17年7月28日付け基発第0728008号「石綿ばく露防止対策の推進について」は廃止する。
 
 
第1 基本的考え方
石綿については、石綿のばく露により肺がん・中皮腫などの重篤な健康障害が発生するおそれがあり、平成18年9月1日から石綿を含有する製品の製造等が全面的に禁へ止されたが、製造等が禁止される前に国内で取り扱われていた石綿の8割以上が建材として使用されたといわれている。今後、石綿等(石綿則第2条第1項に定めるものをいう。以下同じ。)が使用されている建築物等(建築物、工作物及び船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)をいう。以下同じ。)の老朽化が進む中で、さらに増加すると予想される建築物等の解体、改修の作業(以下「解体等」という。)における石綿ばく露及び建築物の天井等に吹き付けられた石綿等の損傷、劣化等による石綿ばく露が懸念されることから、その対策の徹底を図る必要がある。
このため、今後とも石綿ばく露防止対策を健康障害予防上の重点対策として積極的に取り組むこととし、その具体的な推進に当たっては、第2から第6に特段の配意の上、効果的に取り組むこととする。
第2 効果的な周知等
石綿則の周知については、解体工事業者のみならず、リフォーム業者、工務店、設備工事業者を含むあらゆる建設関係の事業者を対象とするとともに、発注者や注文者の責務等も規定されていることから、以下に留意の上、幅広い周知啓発を行うこと。なお、3については、リフォーム工事を発注する一般国民も対象となることから、ポスターの掲出等に関し、関係団体と連携を図ること。
1 周知の手法
関係事業者団体、地方公共団体の大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)、建築基準法(昭和25年法律第201号)、建設業法(昭和24年法律第100号)の所管部署等との連携を積極的に行い、周知対象事業者の把握や地方公共団体が実施する説明会の活用などを図るとともに、各種メディアの活用など広報効果の高い手法を検討し、周知の徹底を図ること。
2 届出及び報告の徹底
(1)計画届の対象拡大の周知徹底
建設業及び土石採取業に属する事業者に対しては、耐火建築物・準耐火建築物以外の吹付石綿の除去等作業や石綿含有保温材等の除去等作業も含め、作業開始の14日前までに労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第88条第3項及び労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第90条第5号の2又は同条第5号の3に基づく計画の届出(以下「計画届」という。)を提出しなければならないことについて、周知徹底を図ること。
また、建設業及び土石採取業以外の業種に属する事業者についても、石綿則第5条に基づく作業届を提出しなければならないことについて、周知徹底を図るとともに、特に工作物や船舶についても届出が徹底されるよう周知に当たって留意すること。
国及び地方公共団体の発注する解体等工事における計画届及び作業届の懈怠を防止する観点から、発注担当部署との連携を図ること。
また、民間の事業者が発注者となる解体等工事についても、計画届等の懈怠を防止する観点から、関係事業者団体等の間での石綿等が使用されている建築物等の解体等に関する情報交換を密にすること。
(2)事前調査結果等の報告の周知徹底
令和2年改正省令による改正後の石綿則第4条の2に基づき、令和4年4月以降は、一定規模以上の建設物、船舶及び特定の工作物の解体等工事について、石綿使用の有無にかかわらず、原則として電子情報処理組織を使用して事前調査結果等の報告(以下「事前調査結果等の報告」という。)を所轄労働基準監督署長に行うことが義務付けられることから、令和3年度中から事前調査結果等の報告について積極的に広報し、同条の施行後は大気汚染防止法や建設リサイクル法の所管部署との連携や通報等を通じて、未報告事案の把握に努め、事前調査結果等の報告の徹底を図ること。
3 発注者に対する周知指導
発注者となり得る建築物の所有者等が集まるあらゆる機会をとらえて、石綿則第8条及び第9条に基づく発注者の責務を周知し、その徹底が図られるよう要請を行うこと。周知に当たっては、特に、次の事項について留意すること。
(1)事前調査等に対する配慮(石綿則第8条第2項)
石綿則第3条に基づく事前調査を適切に行うためには、当該建築物等の仕様や工事履歴などに係る情報が必要となることがあり、当該情報の入手には発注者の協力が不可欠となることから、事前調査結果等の届出の要否にかかわらず、石綿則第3条に基づく事前調査を請負人が着実に実施できるよう、発注者の理解を求めること。
(2)費用等に対する配慮(石綿則第9条)
解体等の作業に係る事前調査の実施前に請負金額を設定し、事前調査で石綿等の使用が明らかになった場合においても注文者が契約金額等を変更せず、その結果、工事を施工する事業者が必要な石綿ばく露防止対策を講じないまま施工するといった事例が認められたことから、注文者に対しては、解体等工事の発注に際しては、事前調査の結果石綿ばく露防止対策の追加費用が発生しうることを踏まえて契約する必要があることを徹底する必要があること。
4 建築物の所有者に対する周知指導
建築物に吹き付けられた石綿等の損傷等による石綿ばく露防止対策を徹底させるため、当該建築物において労働者を就業させる事業者のみならず、建築物の所有者など建物の管理権限を有する者に対しても、石綿則第10条に基づく措置の周知、指導等を行う必要があること。
5 法令改正に伴う周知徹底
石綿則その他石綿に係る法令の改正があった場合には、その公布後及び施行日の前後の機会を捉えて集団指導を実施し、又は関係事業者団体若しくは関係事業者との接触の機会を捉えて改正事項を説明することにより、周知徹底を図ること。
6 石綿総合情報ポータルサイトの活用
石綿則に基づく措置の概要をはじめ、石綿に関する情報や関係省庁等へのリンク先を集約した石綿総合情報ポータルサイトを開設しているので、上記の周知に際して活用すること。
第3 店社に対する計画的な指導を通じた石綿則の遵守の徹底
1 計画的な取組の実施
建築物の解体・改修等の作業を行う現場は膨大な数に上ることから、建設業店社(以下「店社」という。)に対する指導に重点を置き、効果的な石綿則の遵守徹底を図ることとする。各都道府県労働局(以下「局」という。)においては、管内状況を踏まえ、店社に対して計画的に監督指導、個別指導、集団指導、自主点検等を実施すること。
2 対象店社の選定
(1)情報システム及び都道府県知事の登録の活用等
建設業の許可事業者については、建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(国土交通省)を活用し、建設リサイクル法に基づき都道府県知事の登録を受けている事業者については、都道府県から定期的に情報を入手すること。また、リフォーム事業者については、国士交通省の住宅リフォーム事業者団体登録制度に登録された団体に加盟するリフォーム事業者、地方公共団体の登録やリフォーム関係団体が公表している事業者リスト等の情報を定期的に入手すること。把握した事業者のうち、事前調査結果等の報告の実績がない事業者については、積極的に指導の対象とすること。
(2)事前調直結果等の報告の活用
第2の2(2)の事前調査結果等の報告を活用して事業者の効果的な把握を行うこと。特に、石綿含有成形品等の除去作業を行う小規模事業者など、改正前の届出制度では把握が困難だった事業者について、事前調査結果等の報告の情報を活用しつつ、機会を捉えて集団指導等の対象とし、石綿則に基づく措置内容の周知徹底を図ること。
3 重点事項
店社に対する監督指導又は個別指導(以下「監督指導等」という。)に際しては、次の事項を重点として確認を行い、必要な指導を行うこと。
(1)解体等工事について、事前調査及び分析調査の結果が適切に記録・保存されていること(石綿則第3条)
(2)事前調査結果等の報告の対象となる工事について漏れなく報告がなされていること(令和2年改正省令による改正後の石綿則第4条の2)
(3)計画届の対象となる工事について漏れなく届出がなされていること(法第88条第3項、石綿則第5条)
(4)作業計画による作業の記録が写真等により適切に記録・保存されていること(石綿則第35条の2)
(5)作業計画による作業の記録の記載、写真等から確認できる範囲において、石綿則各条項に定める措置が適切に行われていること。
4 建設業以外の業種への対応
造船業などの船舶又は工作物の解体又は改修工事を行う可能性がある事業者に対しても、事前調査の実施の徹底を主眼とした監督指導等又は集団指導を行い、事前調査の履行確保を図ること。
第4 石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業に係る届出受理時及び監督指導等を通じた石綿ばく露防止対策の徹底
建築物等の解体等の作業における労働者の石綿ばく露対策については、原則として第3に基づく店社指導により重点的に行うこととするが、各種届出や通報・情報等により特定の現場(第3に基づく取組の結果、指導が必要と考えられる店社が実施する工事の現場を含む。)を指導する必要がある場合には、以下によること。
1 対象現場の把握
(1)対象現場の把握は、事前調査結果等の報告を活用して行うこと。なお、地方公共団体においても、大気汚染防止法、建設リサイクル法に基づく報告又は届出が行われることとされているため、必要に応じ地方公共団体の各担当部署との連携を図ること。
(2)一般からの情報又は関係行政機関からの情報により、事前調査結果等の報告又は計画届若しくは作業届の対象であるにもかかわらず報告又は届出がなされない石綿等使用建築物の解体又は改修工事(そのおそれがあるものも含む。以下「無届解体等工事」という。)を把握した場合には、局・労働基準監督署(以下「署」という。)間又は署・署間において情報の共有を図ること。
2 計画届の審査等
石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業に係る計画届の審査に当たっては、石綿則第3条の規定に基づく事前調査において、作業を行う建築物等に使用されている建材等の使用箇所(内壁、天井、床、屋根、煙突等)及び種類等を網羅的に把握し、的確に石綿ばく露対策が行われているかを確認するとともに、「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」(令和2年9月8日技術上の指針公示第22号。以下「技術指針」という。)に定める留意事項のほか、次の点に留意すること。
(1)審査における留意事項
ア 計画届に添付された労働災害を防止するための方法及び設備の概要を示す書面又は図面により、石綿則に定める石綿ばく露防止のための措置が適切に行われることを確認すること。その結果、当該内容について問題が認められた場合には、必要な指導等を行うこと。
イ 石綿等の除去作業を行う具体的な時期を、計画届の受理時に工程表等により確認すること。なお、実施時期の変更がなされる場合又は届出時に実施時期が確定していない場合には、実施時期の確定情報を作業実施前に連絡するよう指導すること。
(2)実地調査
計画届の審査等の結果、石綿則に定めるばく露防止のための措置が適切に実施されていることを確認する必要があるものについては、当該措置の実施状況が適切に確認できる時期に実地調査を実施すること。この際、隔離空間の外部から作業の状況等を確認できる場合は、必ずしも隔離空間内に立ち入ることを要しないこと。
3 作業届の審査等
計画届は届出を行うべき業種が建設業及び士石採取業に限定されており、これら以外の業種に属する事業者については石綿則第5条に基づく規定が適用されることに留意し、以下のとおり対応すること。
(1)審査における留意事項
提出された作業届については、届出様式中の次に掲げる欄ごとに、それぞれ確認すべき内容を確認し、その結果、記載内容が石綿則の規定に違反している場合又はその措置の内容が確認できない場合には、周知用パンフレット等を活用して指導を行うとともに、別添の指導文書により必要な改善指導を行うこと。
また、郵送等による提出についても同様に確認の上、同パンフレット等を同封の上、同指導文書を送付する等により改善指導を行うこと。なお、石綿則第5条において作業届の提出時期は、「あらかじめ」と規定されており、作業届の提出が作業開始直前となる場合もあり得るので、その場合には、速やかに確認を行うこと。
おって、ウに掲げる欄については、当該時期について変更する場合又は届出時に時期が確定していない場合には、作業実施前に変更又は確定した当該時期について連絡するよう指導すること。
(ア)「作業主仕者の氏名」の欄
石綿作業主任者の氏名が記載されていること。(石綿則第19条)
(イ)「石綿ばく露防止のための措置の概要」の欄
① 吹付石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材を除く。)の除去、封じ込め若しくは囲い込み(囲い込みの作業にあっては、石綿等の切断等の作業を伴うものに限る。)、又は石綿含有保温材等の除去、封じ込め若しくは囲い込みの作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものに限る。)については、作業場所の隔離その他の措置を行うこと。(石綿則第6条)
② 石綿含有保温材等の除去又は囲い込み(いずれも石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものを除く。)については、当該作業場所に当該作業を行う労働者以外の者の立ち入りを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示すること。(石綿則第7条)
③ 吹き付けられた石綿等の切断等による除去作業又は石綿等が使用されている保温材等の切断等による除去作業については、当該石綿等を湿潤な状態のものとすること。(石綿則第13条)
④ 石綿等の切断等による除去作業に労働者を従事させる時は、当該労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させること。また、呼吸用保護具は同時に作業に従事する人数分用意すること。(石綿則第14条、第45条)
また、これらの保護具、器具、工具、足場等については、付着した物を除去した後でなければその持ち出しをしないこと。(石綿則第32条の2、第46条)
⑤ 石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に労働者を従事させるときは、当該労働者に対し特別教育を行うこと。(石綿則第27条)
⑥ 石綿等を取り扱う作業に労働者を従事させるときは、洗身設備、更衣設備等を設置すること。(石綿則第31条)
(ウ)「仕事の開始予定年月日」及び「仕事の終了予定年月日」の欄
実際に当該仕事が行われる時期が記載されていること。
イ 作業届に添付する図面の審査
作業届に添付する図面には、除去する石綿等の箇所及び隔離又は立入禁止を行う場所が明記されていることを確認すること。
ウ 作業届に係る個別指導
作業届の審査等の結果、その作業現場の状況を確認する必要があるものについては、個別指導を実施すること。
4 無届解体等工事等への対応
(1)無届解体等工事を把握した場合は、優先的に監督指導の対象とするとともに、当該工事を行った事業者の店社に対しても、監督指導等を実施すること。
(2)計画届又は作業届の審査に基づき改善指導等を行ったにもかかわらず、なお、石綿則違反のおそれがあるものについては、監督指導等を実施すること。
(3)(1)や(2)のほか、一般国民からの情報、関係行政機関からの情報等により、石綿則に定める措置や技術指針に定める留意事項が遵守されていないおそれのある解体又は改修工事を把握した場合は、個別指導等を実施すること。
(4)(1)から(3)までの監督指導等を実施した結果、労働安全衛生関係法令等違反が認められた場合には、所要の措置を講じること。
(5)計画届又は作業届に係る実地調査、監督指導等の結果、石綿則に定めるばく露防止のための措置の履行状況について問題が認められた場合には、発注者、元請事業者等に対しても必要な要請等を行い、その改善を求めること。
5 掲示の周知徹底
建築物の解体等作業における石綿のばく露防止及び飛散防止対策の徹底とその周知は、当該作業に従事する労働者や当該作業が行われる現場の周辺住民の不安解消の観点からも強く求められ、平成17年8月2日付け基安発第0802001号「建築物等の解体等の作業を行うに当たっての石綿ばく露防止対策等の実施内容の掲示について」をもって、関係事業者団体等に対し、石綿のばく露防止対策等の実施内容を作業現場の見やすい場所に掲示することを要請している。また、石綿則第3条により、建築物等の解体等の作業について、石綿等の使用の有無の調査を終了した年月日並びに事前調査を行った部分、事前調査の方法及び事前調査を行った部分における材料ごとの石綿等の使用の有無の概要の掲示が義務付けられていることから、あらゆる機会を捉えて、その周知、徹底を図ること。
第5 吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等の損傷等による石綿ばく露防止対策
1 関係行政機関との連携による石綿等が吹き付けられた建築物の把握等
(1)都道府県等により、民間建築物等の吹付けアスベストの使用実態調査が行われた場合には、都道府県等に対し当該調査結果の提供について依頼し、入手に努めること。
(2)(1)の結果、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等の損傷等により労働者が石綿粉じんにばく露するおそれのある事業場を把握した場合には、必要な指導を行い、上第2の4に掲げる事項を含め石綿則に定める措置等について周知を図ること。その際、対象事業場を一定数把握した場合には、可能な限り地方公共団体と連携して集団指導を行うなど、効率的・効果的な指導の実施に努めること。その上で、特に必要が認められる場合には、監督指導等を行うこと。
2 石綿等の除去等の措置の確保
(1)監督指導、個別指導等において、労働者の就業する建築物の壁、柱、天井等に吹付け材又は保温材、耐火被覆材等が封じ込め又は囲い込みされていない状態で使用されていることが認められた場合には、当該吹付け材又は保温材、耐火被覆材等が石綿を含有しているか否かについて、事業者に確認すること。石綿の含有の有無が不明の場合は、事業者に対してその確認を行うよう指導すること。
この際、耐火・準耐火建築物である鉄骨造の工場建屋、倉庫、大型店舗の駐車場、ボイラー室等には石綿等が吹き付けられている割合が高いこと及びエレベーター昇降路内にも石綿等が吹き付けられている場合があることに留意すること。
(2)吹付け材又は保温材、耐火被覆材等が石綿を含有し、労働者にばく露のおそれがある場合には、事業者に対して当該吹付石綿等又は石綿含有保温材等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を行うよう指導すること。
この場合、損傷等のある吹付石綿又は石綿含有保温材等が建築物の共用部分にあるときには、当該建築物の管理権限のある者に対して同様の措置を講ずるよう指導すること。
(3)監督指導等を実施した結果、労働安全衛生関係法令等違反が認められた場合には、所要の措置を講じること。
3 関係者への周知
石綿ばく露防止対策を推進するに当たっては、建築物の使用者に限らず、建築物の所有者への周知の実施も重要であることから、一般社団法人日本ビルヂング協会連合会等関係事業者団体のほか、建築物の所有者が集まるあらゆる機会をとらえ、周知を図ること。
また、ボイラー室、エレベーター昇降路内での作業を有するメンテナンス業者等の団体に対しても、呼吸用保護具の使用等について周知を図ること。
加えて、建築物等において臨時に労働者を就業させる業務を発注する可能性のある建築物の所有者等に対しては技術指針3―2(3)に記載された事項の協力要請も行うこと。
第6 石綿等の製造、輸入等の全面禁止の措置の徹底等
1 全面禁止に係る周知徹底
平成19年3月16日付け基安発第0316003号「石綿含有製品の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について」、平成23年1月27日付け基安発0127第2号「石綿含有製品等の製造、輸入、提供又は使用の禁止の徹底について」、令和2年11月27日付け基安発1127第2号「石綿含有製品等の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について」等を踏まえ、商社等の輸入事業者も含め、全面禁止の措置の周知徹底を図ること。特に、
ア 平成18年9月1日の全面禁止より前に購入若しくは製造し又は譲渡・提供を受け、在庫として所有している工業製品又は原料
イ 石綿等の製造等が完全に禁止されていない国又は石綿規制の裾切値が0.1%よりも上に設定されている国等からの輸入品に留意し、①石綿の含有の有無について販売元に照会する、②必要に応じて自らが分析調査を行う、などにより石綿が含有していないことを確実に確認するよう指導すること。
なお、珪藻土を主たる材料とする板状の製品については、石綿則第46条の2に基づく輸入時の措置が必要であることを関係事業者団体に周知徹底を図ること。
2 署への報告の徹底
製品を製造し、又は輸入した事業者は、当該製品が石綿をその重量の0.1%を超えて含有していることを知った場合には、石綿則第50条に基づく報告が必要であるので、該当する事案を把握した場合には直ちに対象となる事業者に対して指導を行い、報告を徴すること。
 
別添
 
 年 月 日
(事 業 者)殿
___労働基準監督署
(担当:    )
 
石綿障害予防規則第5条に基づく「建築物解体等作業届」について
 
 標記の作業届の提出を受けたところですが、「石綿ばく露防止のための措置の概要」欄に記載された内容については、次の○にレ点を付した理由により、下記の口にレ点を付した事項について、不備が認められます。
  ○ 石綿則に則した措置内容かどうかが不明確であること
  ○ 石綿則に違反する内容となっていること
 ついては、石綿等の除去作業の際には、特に、当該事項に注意し、石綿則に基づく対策を講じた上で作業を行ってください。
 なお、今後の作業届の提出においては、当該事項についても適切な記述を行った上、提出してください(同封した資料を参考にしてください。)
 
 
□ 吹き付けられた石綿等の除去作業等を行う場所の隔離等(石綿則第6条)
□ 石綿等の切断、破砕、穿孔、研磨等の作業を伴わない保温材、耐火被覆材等の除去作業等を行う場所への当該作業を行う労働者以外の者の立ち入り禁止及びその旨の表示(石綿則第7条)
□ 石綿等の切断、破砕、穿孔、研磨等の作業時、石綿等が使用されている建築物等の解体又は改修の作業時の当該石綿等の湿潤化(石綿則第13条)
□ 石綿等の切断、破砕、穿孔、研磨等の作業時、石綿等が使用されている建築物等の解体又は改修の作業時の呼吸用保護具及び作業衣等の使用(石綿則第14条)
 
以上

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