令和4年度における建設業の安全衛生対策の推進について(要請) |
|
平素より労働安全衛生行政の推進に格別の御理解と御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
|
建設業における死亡災害発生状況は、令和3年の死亡者数(令和4年3月速報)が283人と過去最小であった前年同期の253人と比べ、大幅な増加となっており、また、全産業の死亡者数831人のうち34.1%と高い割合を占めていることから、建設業については、なお一層の労働災害防止対策を推進することが求められています。
|
厚生労働省では、従前より、労働安全衛生法令に基づく対策の徹底、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(建設職人基本法)に基づく措置の的確な実施、自主的な安全衛生活動の促進等を図ることにより、建設業における安全衛生対策を推進してきたところです。
|
今般、第13次労働災害防止計画(平成30年2月28日厚生労働省策定、平成30年3月19日公示)における計画期間(2018年4月から2023年3月までの5年間)の最終年度である令和4年度における建設業の安全衛生対策の推進に係る留意事項について、別添のとおり定めましたので、別添を傘下の関係者等に御周知されること等により、引き続き、建設業の安全衛生対策の推進に特段の御配慮を賜れますよう御協力をよろしくお願いいたします。
|
|
別添 |
令和4年度における建設業の安全衛生対策の推進に係る留意事項 |
|
1 労働者の安全確保のための対策 |
|
(1) 足場等からの墜落・転落防止対策 |
建設業における死亡災害のうち、墜落・転落災害が4割以上を占めていることから、事業者は、引き続き、墜落・転落災害防止に係る労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)の遵守徹底を図るとともに、足場からの墜落・転落災害を防止するために「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」(平成24年2月9日付け基安発0209第2号、平成27年5月20日一部改正)に基づく「より安全な措置」等の措置を適切に講じること。
|
(2) はしご等からの墜落・転落防止対策 |
建設業における墜落・転落災害による死傷者数のうち、はしご等からの墜落・転落が約3割と最も多くなっている。事業者は、「リーフレット「はしごを使う前に/脚立を使う前に」を活用した墜落・転落災害防止の徹底について」(令和3年3月17日付け基安安発0317第2号)に基づく措置を適切に講じること。
|
特に脚立からの墜落・転落については、令和3年に5件の死亡事故が生じており(※)、そのすべての事案において、被災者は、保護帽(ヘルメット)を未着用もしくは墜落時に脱げた状態であったことから、労働者に脚立を使用させる場合には、適正な保護帽の着用を確認すること。
|
(※) 令和4年3月速報時点。脚立から脚立を設置する地面に落ちた事案のみ(不安定な高所で脚立を使用し、高所から落ちた事案は含まない)。
|
(3) 墜落制止用器具の適切な使用 |
厚生労働省は、事業者に対して、平成31年2月1日に施行された墜落制止用器具に係る改正安衛則等について、リーフレット等を活用して改正内容の周知を図るともに、令和4年1月1日に経過措置期間が終了した「墜落制止用器具の規格」(平成31年厚生労働省告示第11号)に適合した墜落制止用器具の使用を指導する。
|
事業者は、フルハーネス型墜落制止用器具の使用について、改正安衛則を踏まえた「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日付け基発0622第2号)に基づく措置を適切に講じるとともに、「墜落制止用器具の規格」に適合した墜落制止用器具の使用を徹底する。
|
(4) 建設工事の現場等における荷役災害防止対策 |
荷役作業中の災害を防止するためには、荷主等の立場となる事業者(以下「荷主等」という。)の協力も必要となることから、厚生労働省は、製造業等の荷主等を対象として安全設備の設置等について、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成25年3月25日付け基発0325第1号)に基づく荷主等による取組の必要性を説明し、同取組の促進を図る。
|
荷主等は、リーフレット「荷役作業の安全確保が急務です!」(令和3年1月18日付け基安安発0118第2号)に示す取組を実施する等により、建設工事の現場等における荷役災害防止対策を適切に講じること。
|
(5) 転倒災害の防止 |
転倒災害は業種問わず最も多い災害の型であるため、事業者は、「今後の転倒災害防止対策の推進について」(令和元年6月17日付け基安発0617第1号)に基づき、「STOP!転倒災害プロジェクト」(同通達別添)に定める措置を適切に講じること。特に、転倒災害の特徴として、①高年齢労働者が多く被災する、②降雪地帯で冬季に多く発生するといったことが挙げられることに留意するとともに、降雪が多い地域においては、降雪等が本格化する前に、冬季に向けた転倒災害防止対策について事前に準備を進めること。
|
また、厚生労働省と消費者庁は、日本転倒予防学会と協力して、10月10日の「転倒予防の日」を契機に、国民に対する転倒予防の呼びかけを行った。上記取組は、転倒災害が多い小売業等に重点的に対象にして実施しているところであるが、建設業の事業場においても上記取組を活用しつつ、転倒予防の取組に努めること。
|
なお、転倒災害防止用の視聴覚教材を厚生労働省ホームページに公開しているので、事業者は、安全衛生教育を実施する機会等に活用すること。
|
(6) 交通労働災害防止対策 |
事業者は、「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成25年5月28日付け基発0528第2号、平成30年6月1日最終改正)に基づく措置を適切に講じること。
|
とりわけ、建設資材等の運搬を発注する際は、過積載運行にならないよう実際に荷を運搬する事業者に協力すること。
|
(7) 建設工事の現場等で交通誘導等に従事する労働者の安全確保
|
厚生労働省は、建設工事の現場等において、交通誘導等に従事する警備業等の労働者が死傷する労働災害が発生していることを踏まえ、令和元年度に作成した警備業の未熟練労働者への安全衛生教育に活用できるマニュアルについて周知する。事業者は、建設工事の現場等で交通誘導等に従事する労働者に対する安全衛生教育を実施する場合には、同マニュアルを活用すること。
|
(8) 車両系建設機械等を運転中の墜落・転落防止対策 |
車両系建設機械を運転中に機械と一緒に墜落・転落し、運転者が死亡した災害が、令和3年に8件発生している(※)。すべての災害が不安定の場所から崖下、河川、調整池等に墜落・転落したものであった。
|
事業者は、労働者に車両系建設機械を使用させる場合は、安衛則に基づき、運行経路等を示した作業計画を定め、関係労働者に周知するとともに、転倒又は転落により労働者に危険が生じるおそれのある場合は、誘導者を配置するなど、必要な安全対策を講じること。
(※)令和4年3月速報時点。 |
(9) 専門工事業者等の安全衛生活動支援事業 |
建設業における労働災害の被災者の約9割は、店社で規模が30人未満のものに所属していることを踏まえ、厚生労働省は、建設業労働災害防止協会(以下「建災防」という。)に対して、中小の建設会社(以下「専門工事業者等」という。)におけるパトロール、視聴覚教材や冊子の作成等の安全衛生活動を支援するための事業への補助を実施する。
|
専門工事業者等は、上記事業を活用する等により、自主的に安全衛生活動を行うこと。
|
(10) 高年齢労働者等の労働災害の防止 |
厚生労働省は、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)(以下「エイジフレンドリーガイドライン」という。)に基づき事業場を指導する。また、「エイジフレンドリー補助金」により、働く高年齢労働者が安心して安全に働く職場環境の整備に意欲のある中小企業における取組を引き続き、支援する。
|
事業者は、各事業場における高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の各事業場の実情に応じて、エイジフレンドリーガイドラインを参照し、厚生労働省、建災防等による支援も活用して、実施可能なものから積極的に高年齢労働者の労働災害防止対策に取り組み、職場環境の改善を図ること。
|
(11) 外国人労働者に対する労働災害防止対策 |
厚生労働省は「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年8月3日厚生労働省告示第276号)、「外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について」(平成31年3月28日付け基発0328第28号)、「外国人の日本語の理解力に配慮した技能講習の実施について」(令和2年3月31日付け基発0330第43号)により、外国人労働者の労働災害防止のための安全衛生教育の実施方法等について示している。
|
また、厚生労働省は、外国人労働者が教育内容を理解できるよう、外国語教材を作成し、「職場のあんぜんサイト」及び厚生労働省ホームページにおいて公表している。
|
事業者は、外国人労働者に対する安全衛生教育を行う場合には、これらの教材を活用しつつ、外国人労働者がその内容を確実に理解できる方法で実施すること。
|
また、事業者は、外国人労働者が労働災害に被災した場合に労働者死傷病報告(安衛則様式第23号)を提出する際、被災労働者の国籍・地域及び在留資格を、在留カード等により確認し、記入すること。
|
(12) 一人親方等の安全衛生対策 |
厚生労働省は、引き続き、建設業に従事する一人親方等の死亡災害の把握に努めるとともに、令和4年度委託事業により建設業の一人親方に対する安全衛生教育に係る支援として、全国で研修会を開催するとともに、建設現場において、引き続き、一人親方に対し技術指導を行う。
|
(13) 自然災害の復旧・復興工事における労働災害防止対策 |
日本各地で地震、豪雨、台風等による大規模な自然災害が発生しているが、復旧・復興工事における労働災害を防止するためには、工事の進捗状況を踏まえて、現場の実態に即した労働災害防止対策を講じることが必要となる。このため、建災防が、厚生労働省補助事業として安全衛生専門家による復旧復興工事の巡回指導等を行う。
|
自然災害に係る復旧・復興工事では重機による災害や墜落・転落災害等の発生が懸念されることから、事業者は、当該災害に着目した労働災害防止対策を適切に講じること。
|
(14) 伐木等作業の安全対策 |
令和2年8月に施行されたチェーンソーによる伐木等作業における特別教育に係る安衛則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第11号)及び令和2年1月31日付けで改正した「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」(平成27年12月7日付け基発第1207第3号、令和2年1月31日付け基発0131第1号改正)について、令和4年度も引き続き、委託事業により、安全衛生推進者等を対象に、伐木等作業の安全対策の理解を深めるための安全対策講習会を全国7会場で開催する。
|
伐木等作業を行う建設事業者においても、集団指導、安全対策講習会等への参加に留意するともに、伐木作業等における安全対策を適切に講じること。
|
(15) 安全な建設機械の普及 |
建設機械による災害を防止するためには、近年の技術の進展に伴い開発されている事故防止技術の活用の促進が重要であることから、厚生労働省は、安全な建設機械の導入を積極的に勧奨する。特に中小建設事業者等に対しては、本年度創設した「高度安全機械等導入支援補助金」の活用等を積極的に周知する。
|
(16) 建設工事関係者連絡会議の運営等 |
厚生労働省は、「建設工事関係者連絡会議の設置について」(平成26年4月11日付け基安発0411第1号)により、工事の安全衛生に配慮した発注、安全衛生経費の確保、統括安全衛生管理の徹底のための相互パトロール、安全衛生教育等について、発注者、施工者及び安全衛生行政関係者により協議をし、必要な取組を行う。
|
(17) 建設職人基本法・基本計画に基づく取組等
|
厚生労働省は、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年法律第111号)に基づき、都道府県計画を策定する都道府県及び策定された計画に基づき実行する都道府県に対し、他の都道府県の好事例等を紹介するなど、取組を支援する。また、都道府県労働局から管内の労働災害発生状況の分析結果、実施する施策等に係る情報について積極的に提供するなど、都道府県との連携の強化を図る。
|
|
2 労働者の健康確保のための対策、化学物質等による労働災害防止対策 |
|
(1) 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策 |
元方事業者はじめ、施工に携わるそれぞれの事業者は、各関係団体において作成された「業種ごとの感染拡大予防ガイドライン」(※)等を実践する際に、厚生労働省において作成した「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(令和3年2月12日最終改正。以下「感染防止チェックリスト」という。)等を活用し、労使協力の下、職場の状況に応じた感染防止対策の徹底を図ること。
|
なお、感染防止対策の検討に際しては、国土交通省ホームページにおいて建設現場の「3つの密」回避等の取組事例及び新型コロナウイルス感染予防対策に伴う熱中症リスク軽減等のための取組事例等が公開されていることから、これらも参考にすること。
|
(※) 建設業については、「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」(令和2年5月14日国土建第18号(令和3年5月12日改訂)が策定され、建設現場やオフィスにおける感染予防対策の基本的事項が示されている。
|
(2) 熱中症対策 |
厚生労働省は、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」(5月から9月まで、準備期間:4月、重点取組期間:7月)を実施する。また、熱中症に関する資料やオンライン講習動画等を掲載しているポータルサイトを運営する。
|
事業者は、初期症状の把握から緊急時対応までの体制整備、暑熱順化が不足していると考えられる者の把握、暑熱順化や休憩時間の確保を考慮した作業計画の策定、WBGT値の実測とその結果を踏まえた対策の実施、休憩場所の確保、定期的な水分・塩分の摂取徹底、健康診断結果を用いた就業上の措置、作業開始前の健康状態の確認、作業を管理する者や労働者に対する労働衛生教育、緊急時の早めの搬送等を実施すること。
|
(3) じん肺予防対策 |
ア 厚生労働省は、ずい道等建設工事の切羽付近における作業環境等を将来にわたってよりよいものとする観点から、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)及びずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインを改正している。また、これらの改正に伴い、建災防策定の「ずい道等建設工事における換気技術指針」についても改正された。
|
事業者は粉じん濃度の測定、換気装置等による換気の実施等、また、発注者は必要な経費の積算等、第9次粉じん障害防止総合対策に基づき適切にずい道等建設工事における粉じん対策を講じること。
|
イ 厚生労働省は、平成30年度から令和4年度を期間とする「第9次粉じん障害防止総合対策」の重点事項として、①屋外における岩石・鉱物の研磨作業又はばり取り作業及び屋外における鉱物等の破砕作業に係る粉じん障害防止対策、②ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策、③呼吸用保護具の使用の徹底及び適正な使用の推進、④じん肺健康診断の着実な実施、⑤離職後の健康管理等を掲げている。
|
事業者は、当該防止総合対策に基づく措置を適切に講じること。また、解体作業等において、法令上必要であるにもかかわらず現場監督など事業者側の判断により防じんマスクを外させることなく、労働者に防じんマスクを確実に使用させること。
|
ウ ずい道等建設工事を対象として、粉じん作業に従事する労働者のじん肺健康診断等の情報を管理するために建災防が運用している「ずい道等建設労働者健康情報管理システム」について、建災防と労働基準監督署が連携の上、未登録事業場に対する登録依頼を実施する予定であるため、登録依頼を受けた事業場においては、関係労働者に対する承諾手続等を計画的に行うなど、健康情報等の確実かつ円滑な登録に努めること。
|
(4) 騒音障害防止対策 |
建設業においては、ずい道工事や土木工事に従事していた労働者などに依然として騒音性難聴の発生がみられることから、7月を目途に「騒音障害防止のためのガイドライン」(平成4年10月1日付け基発第546号)の改正を予定している。事業者は、屋内作業場に限らず、騒音レベルの把握とその結果に応じた騒音ばく露防止対策を講ずること。
|
(5) 建設業におけるメンタルヘルス対策の推進 |
建設業においても精神障害が多く発生しており、建設業の事業場におけるメンタルヘルス対策の取組割合が43.0%と低調であることから、事業者は、ストレスチェック制度の実施を徹底するとともに、労働災害を防止する上でもメンタルヘルス対策が有効との調査結果(建災防実施)もあることから、建災防とも連携して、建設工事の現場等におけるメンタルヘルス対策を適切に講じること。なお、元方事業者は、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえ、専門家の指導に基づき、職場環境改善計画を作成し、計画に基づき職場環境の改善を実施した場合に、「職場環境改善計画助成金(建設現場コース)」も活用できるものであること。
|
(6) 化学物質による健康障害防止対策 |
ア 厚生労働省は、塗膜の剥離や掻き落とし作業について、鉛等有害物の有無等により工事に要する安全衛生経費・工期は大きく変わることから、発注者に対し、有害物の有無、剥離剤等作業で使用する製剤等に応じた必要な安全衛生経費の積算等、必要な対応を行うよう求める。
|
事業者は、鉛、六価クロム、PCB等の有害物は上塗りから下塗りまでの塗膜に含有しうることにも留意し、有害物の含有状況や作業内容に応じて適切なばく露防止対策(剥離剤等作業で使用する製剤に対する対策も含む)を講じること。
|
また、事業者は、研磨材の吹き付け(ブラスト)や研磨材を用いた手持ち式動力工具(ディスクサンダー)による鋼構造物の研磨等においては、塗膜中の有害物の有無にかかわらず、粉じん障害防止規則に基づき、労働者に対して、呼吸用保護具(送気マスク等)を使用させる等の措置を講じること。
|
イ 建設業においても、塗装や作業に使用する製剤など多くの化学物質を用いていることから、厚生労働省は、特定化学物質障害予防規則や有機溶剤中毒予防規則の徹底を図るとともに、使用前にラベル・SDSを確認し、その情報に基づいて化学物質を用いる作業に応じたリスクアセスメント及び当該結果に基づく措置等を実施するよう周知・指導する。
|
事業者は、作業者に対して、ラベル等により作業に用いる化学物質の危険性・有害性や適切な保護具の使用について周知するようにすること。
|
ウ 厚生労働省は、金属アーク溶接等作業で発生する溶接ヒュームにばく露することによる神経障害等の健康障害を防止するため、特定化学物質障害予防規則の改正内容について周知・指導する。
|
(7) 石綿健康障害予防対策 |
ア 厚生労働省は、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年7月1日厚生労働省令第134号)を公布しており、一部の規定を除き令和3年4月1日から施行されていることから、改正後の石綿障害予防規則に基づく措置等を実施するよう地方公共団体とも連携して周知・指導を行う。また、建築物の解体・改修工事について、適切に対象選定を行い、遵法意識の確保のための予告なしの立入りを行う。
|
イ 厚生労働者は、建築物の解体・改修作業の発注者への対応について、改正後の石綿障害予防規則に規定する発注者の責務等について、必要な周知啓発を図り、解体・改修工事の契約締結後に事前調査を行う場合において当該調査結果に応じた費用・工期の変更を認めないような適切でない契約の排除を図る。
|
ウ 事業者は、改正後の石綿障害予防規則に基づき、解体・改修工事前の石綿含有の有無の事前調査、石綿事前調査結果報告システムを用いた事前調査結果等の報告、写真等による作業の実施状況の記録の作成及び保存などの措置を徹底するとともに、令和5年10月1日から施行される建築物の事前調査を実施するために必要な知識を有する者を確保するため、建築物石綿含有建材調査者講習の受講を計画的に行うこと。
|
(8) 危険有害な作業を行う場合の請け負わせる一人親方等への措置 |
厚生労働省は、事業者が危険有害な作業を行う場合に作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護を図る観点から、安衛則等を改正する予定である。同改正については、令和5年4月から施行する予定であり、改正内容をまとめたリーフレット等を作成し、関係者に対する周知をする。
|
事業者は、改正内容について、理解を進めるとともに同改正で義務付けられる請け負わせる一人親方等への周知の方法等について、あらかじめ検討し、円滑な施行に向け準備をすること。
|
|
3 その他の安全衛生に係る対策 |
|
(1) 労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用 |
厚生労働省は、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格(IS045001)、日本産業規格(JISQ45001及びJISQ45100)を踏まえて改正した「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(平成11年労働省告示第53号、令和元年7月1日最終改正)について周知を図る。
|
また、同指針に準拠した建設業労働安全衛生マネジメントシステムを導入した企業の労働災害の減少幅は大きく、労働災害防止に効果があることから、事業者は、建設工事現場の実態を踏まえたシステムである「ニューコスモス」、「中小事業者向けのコンパクトコスモス」の導入・活用に留意すること。
|
(2) 建設業における安全衛生教育の推進 |
ア 職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育の推進
|
事業者は、「建設業における職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育について」(平成29年2月20日付け基発0220第3号)に基づき、建設業における職長等及び安全衛生責任者を対象に、概ね5年ごとに及び機械設備等に大幅な変更のあった場合に、労働災害の防止に係る当該教育を受講させること。
|
イ 建設従事者教育の推進
|
事業者は、「建設工事に従事する労働者に対する安全衛生教育について」(平成15年3月25日付け基安発第0325001号)に基づき、建設工事に従事する労働者を対象に、建設現場で働く労働者が守らなければならない労働安全衛生法令の遵守事項等の基本的事項について教育を受講させること。
|
(3) 各種ガイドライン等に基づく安全衛生対策の推進 |
厚生労働省は、建設業の安全衛生対策を推進するために、各種のガイドライン等を発出していることから、現場での活用のための周知等を通じて、ガイドライン等に基づく安全衛生対策を推進する。
|
事業者は、当該ガイドライン等に基づく安全衛生対策を適切に措置すること。
|
|
(参考) |
令和4年度における建設業の安全衛生対策の推進に係る関連通達等
|
|
(全般) |
・第13次労働災害防止計画(平成30年2月28日厚生労働省策定、平成30年3月19日公示) |
・建設業における総合的労働災害防止対策の推進について(平成19年3月22日付け基発0322002号) |
・元方事業者による建設現場安全管理指針について(平成7年4月21日付け基発第267号の2) |
|
1 労働者の安全確保のための対策 |
|
(1) 足場等からの墜落・転落防止対策 |
・労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(平成27年3月31付け基発0331第9号) |
・足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱の改正について(平成27年5月20日付け基安発0520第1号) |
・「手すり先行工法に係るガイドライン」について(平成21年4月24日付け基発第0424001号) |
・足場の設置が困難な屋根上作業等における墜落防止のための作業標準マニュアルについて(平成26年3月10日付け基安安発0310第1号) |
(2) はしご等からの墜落・転落防止対策 |
・リーフレット「はしごを使う前に/脚立を使う前に」を活用した墜落・転落災害防止の徹底について」(令和3年3月17日付け基安安発0317第2号)
|
(3) 墜落制止用器具の適切な使用 |
・墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン(平成30年6月22日付け基発0622第2号)
|
・規格不適合の墜落制止用器具に関する注意喚起について(令和4年2月25日付け基安安発0225第1号)
|
(4) 建設工事の現場等における荷役災害防止対策
|
・陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン(平成25年3月25日付け基発0325第1号)
|
・荷役作業場所のチェックリスト(平成27年8月27日付け基発0827第8号別添)
|
・「荷役作業の安全確保が急務です!」(令和3年1月18日付け基安安発0118第2号)
|
(5) 転倒災害の防止
|
・今後の転倒災害防止対策の推進について(令和元年6月17日付け基安発0617第1号)
|
(6) 交通労働災害防止対策 |
・交通労働災害防止のためのガイドライン(平成25年5月28日付け基発0528第2号、平成30年6月1日最終改正)
|
・交通労働災害防止対策の推進について(平成27年3月13日付け基安発0313第1号)
|
・建設業における交通労働災害防止対策の徹底について(平成27年8月6日付け基安安発0806第1号)
|
(7)建設工事の現場等で交通誘導等に従事する労働者の安全確保
|
・現時点では、特になし。 |
(8) 車両系建設機械等を運転中の墜落・転落防止対策
|
・現時点では、特になし。 |
(9) 専門工事業者等の安全衛生活動支援事業 |
・現時点では、特になし。
|
(10) 高年齢労働者等の労働災害の防止
|
・「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の策定について(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)
|
(11) 外国人労働者に対する労働災害防止対策
|
・外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平成19年8月3日付け厚生労働省告示第276号)
|
・労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(労働者死傷病報告様式改正関係)(平成31年1月8日付け基発0108第4号)
|
・外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について(平成31年3月28日付け基発0328第28号)
|
(12) 一人親方等の安全衛生対策 |
・現時点では、特になし。 |
(13) 自然災害の復旧・復興工事における労働災害防止策 |
・東日本大震災による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底について(その4)~地震・津波により被害を受けた建築物等の解体工事関連~(平成23年8月31日付け基安安発0831第4号、基安労発0831第2号、基安化発0831第2号)
|
・平成28年熊本地震の復旧工事における労働災害防止対策の徹底について(平成28年4月21日付け基安安発0421第1号、基安労発0421第2号)
|
・平成28年熊本地震の復1日工事における土砂崩壊災害防止対策等の徹底について(平成28年6月1日付け基安安発0601第1号)
|
・災害廃棄物の処理における労働安全衛生対策に係る発注者の配慮等について(平成28年7月25日付け基安安0725第2号、基安労0725第2号、基安化0725第2号)
|
・東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン(平成27年8月26日付け基発0826第1号)
|
・木造家屋等低層住宅建築工事における労働災害防止対策の推進について(平成8年11月11日付け基発第660号の2)
|
・「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」の策定について(平成27年6月29日付け基安安発0629第2号)(再掲)
|
・土止め先行工法に関するガイドラインの策定について(平成15年12月17日付け基発第1217001号)
|
・東日本大震災復旧・復興工事関係者連絡会議及び工事エリア別協議組織の設置について(平成23年10月21日付け基安発1021第2号)
|
(14) 伐木等作業の安全対策 |
・労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(伐木作業等の安全対策関係)(平成31年2月14日付け基発0214第9号)
|
・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の策定について(平成27年12月7日付け基発1207第3号、令和2年1月31日付け基発0131第1号改正)
|
・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の留意事項の改正について(令和2年1月31日付け基安安発0131第1号)
|
(15) 安全な建設機械の普及 |
・現時点では、特になし。 |
(16) 建設工事関係者連絡会議の運営 |
・建設工事関係者連絡会議の設置について(平成26年4月11日付け基安発0411第1号)
|
・元請負人及び下請負人の間での労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の明確化に係るパンフレットの作成について(平成27年6月15日付け基安発0615第1号)
|
(17) 建設職人基本法・基本計画に基づく取組等
|
・建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律の施行について(平成29年3月16日付け基発0316第3号)
|
・建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画について(平成29年6月9日付け基発0609第7号)
|
|
2 労働者の健康確保のための対策、化学物質等による労働災害防止対策
|
|
(1) 職場における新型コロナウイルス感染省の拡大防止対策 |
・「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(令和3年2月12日最終改正)
|
・「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」(令和2年5月14日国土建第18号(令和2年12月24日改訂)
|
・建設現場「三つの密」の回避等に向けた取組事例(令和2年7月1日更新)(国交省ホームページ)
|
・【新型コロナ対策】対策に伴う熱中症リスク軽減等のための取組事例(令和2年7月1日作成)(国交省ホームページ)
|
(2) 熱中症対策 |
・令和4年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の実施について(令和4年2月22日付け基安発0222第1号)
|
・職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について(令和3年4月20日付け基発0420第3号)
|
(3) じん肺予防対策
|
・第9次粉じん障害防止総合対策の推進について(平成30年2月9日付け基発0209第3号)
|
・ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン(平成12年12月26日基発第768号の2令和2年7月20日付け基発0720第2号改正)
|
(4) 騒音障害防止対策 |
・騒音障害防止のためのガイドラインの策定について(平成4年10月1日付け基発第546号)
|
(5) 建設業におけるメンタルヘルス対策の推進
|
・建災防調査「建設現場における不安全行動・ヒヤリハット体験に関する実態調査」(平成30年4月)
|
(6) 化学物質による健康障害防止対策
|
・化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成27年9月18日付け危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第3号)
|
・鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について(平成26年5月30日付け基安労発0530第1号、基安化発0530第1号/基安労発0530第3号、基安化発0530第3号)
|
・建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドラインの策定について(平成10年6月1日付け基発第329号の1)
|
・一酸化炭素中毒による労働災害の発生状況等について(平成28年12月6日付け基安化発1206第1号)
|
・建設業における有機溶剤中毒予防のためのガイドラインの策定について(平成9年3月25日付け基発第197号)
|
・「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」の改正について(平成26年1月10日付け基発0110第1号)
|
・「廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」の運用に当たり留意すべき事項について(平成26年1月10日付け基安化発0110第1号)
|
・剥離剤を使用した塗料の剥離作業における労働災害防止について(令和2年8月17日基安化発0817第1号)
|
(7) 石綿健康障害予防対策 |
・建築物石綿含有建材調査者講習登録規程の改正等について(令和2年7月1日基発0701第11号)
|
・石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について(令和2年8月4日基発0804第8号)
|
・石綿障害予防規則第三条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者に係る具体的事項について(令和2年9月1日基発0901第10号)
|
・建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針の改正について(令和2年10月6日基発1006第2号)
|
・建築物石綿含有建材調査者講習登録規程の運用について(令和2年10月20日基発1020第4号)
|
・石綿障害予防規則の解説について(令和2年10月28日基発1028第1号)
|
(8) 危険有害な作業を行う場合の請け負わせる一人親方等への措置 |
・現時点では、特になし。(令和4年度中に発出予定)
|
|
3 その他の安全衛生対策
|
|
(1) 労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用
|
・労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11年労働省告示第53号、令和元年7月1日最終改正)
|
・労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について(平成18年3月17日付け基発第0317007号、令和元年7月1日付け基発0701第3号改正)
|
(2) 建設業における安全衛生教育の推進
|
・安全衛生教育及び研修の推進について(平成3年1月21日付け基発第39号)
|
・建設業における安全衛生責任者に対する安全衛生教育の推進について(平成12年3月28日付け基発第179号、平成18年5月12日付け基発第0512004号最終改正)
|
・建設工事に従事する労働者に対する安全衛生教育について(平成15年3月25日付け基安発第0325001号)
|
・職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育について(平成29年2月20日付け基発0220第3号)
|
(3) 各種ガイドライン等に基づく安全衛生対策の推進
|
・シールドトンネル工事に係るセーフティ・アセスメントについて(平成7年2月24日付け基発0321第4号)
|
・「シールドトンネル工事に係る安全対策ガイドライン」の策定について(平成29年3月21日付け基発0321第4号)
|
・山岳トンネル工事に係るセーフティ・アセスメントに関する指針について(平成8年7月5日付け基発448号の2)
|
・「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」の策定について(平成28年12月26日付け基安安発1226第1号、平成30年1月18日付け基発0118第1号改正)
|
・土石流による労働災害防止のためのガイドラインの策定について(平成10年3月23日付け基発第120号)
|
・「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」の策定について(平成27年6月29日付け基安安発0629第1号)
|
・斜面の点検者に対する安全教育実施要領の策定について(平成27年6月29日付け基安安発0629第4号)
|
・ロープ高所作業における危険の防止を図るための労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について(平成27年8月5日付け基発0805第1号)
|