通 達
大型荷役機械等の解体工事における安全確保に係る総点検について
一般社団法人日本クレーン協会会長殿 基安発0527第1号
厚生労働省労働基準局 安全衛生部長 令和8年5月27日
大型荷役機械等の解体工事における安全確保に係る総点検について
 
 解体工事における労働災害の防止については、かねてからその徹底を図っているところですが、令和8年4月7日、別添1のとおり、神奈川県川崎市の製鉄所において、船舶からばら物を荷揚げするためのクレーン(アンローダー)に取り付けられていた円柱状のカウンターウェイト上で、作業員が当該カウンターウェイトの重量を軽くするためのはつり作業に従事していたところ、当該カウンターウェイトが何らかの原因で外れ、5名の作業員がカウンターウェイトとともに転落し、うち3名が死亡、1名が重傷、1名が行方不明(その他、カウンターウェイト落下時の衝撃により1名が軽傷)となるという重大災害が発生しました。
 本災害の原因につきましては現在調査中ですが、同種災害の防止のため、下記事項を要請します。
  1.  会員事業場のうち、アンローダー、ガントリークレーンその他解体に伴う重心の移動及び支持条件の変化により構造の安定性が低下するおそれのある大型構造物の解体工事の発注者及び元方事業者に該当する事業場に対して、別添2の点検表により、総点検を実施していただくこと。
  2.  会員事業場のうち、1の発注者及び元方事業者に加え、1の工事に関わる解体工事施工事業者、クレーン製造者等に対して、リスクアセスメントの実施をはじめ、作業計画の作成やこれに基づく措置の徹底を周知すること。
 
クレーンの解体作業におけるカウンターウェイトの崩壊による墜落災害
 
  1.  発生日時
     令和8年4月7日午後4時20分頃
  2.  発生場所
     神奈川県川崎市川崎区扇島
  3.  発生状況
     災害発生時、製鉄所構内において、船舶からばら物を荷揚げするためのクレーン(アンローダー)の解体作業が行われていた。バランスを取るために当該クレーンに取り付けられていた円柱状のカウンターウェイ卜上で、作業員が当該カウンターウェイトの重量を軽くするためのはつり作業に従事していたところ、当該カウンターウェイトが何らかの原因で外れ、5名の作業員がカウンターウェイトとともに転落した。その他、カウンターウェイト落下時の衝撃により1名が軽傷となった。
  4.  被災状況
     3名死亡、1名行方不明、1名重傷、1名軽傷
クレーン(イメージ図)
 
大型荷役機械等の解体工事における安全確保に係る点検表
 
  1.  対象等
     本点検表は、アンローダー、ガントリークレーンその他解体に伴う重心の移動及び支持条件の変化により構造の安定性が低下するおそれのある大型構造物の解体工事(現在実施中のものに加え、今後実施予定のものを含む。)を対象とすること。元方事業者が点検を実施する際には関係請負人と協力し点検を実施すること。
  2.  点検事項
確認内容 根拠法令等 措置義務者
①解体対象物に係る設計図書、改造履歴、補修履歴等を施工事業者へ提供しているか 法第3条第3項 発注者
②施工事業者が十分な事前調査、リスクアセスメント及び作業計画の作成を行うことができる工期及び施工条件(適正な請負金額及び安全経費を含む。)としているか 法第3条第3項 発注者
③解体対象物の構造、重量、重心その他構造安定性に関する情報について、施工事業者へ適切に共有しているか 法第3条第3項 発注者
④解体対象物について、設計図書、改造履歴、補修履歴等を入手し、解体対象物の構造、腐食、劣化、損傷状況等の情報を確認しているか 法第28条の2、RA指針の7 元方事業者又は関係請負人
⑤上記④で入手した情報のうち、必要な情報を関係請負人に提供しているか 法第3条第3項 元方事業者
⑥上記④で入手した情報、解体に伴う重心の移動、支持条件の変化及び構造の不安定化を踏まえ、解体対象物の崩壊・倒壊、解体作業箇所からの墜落・転落等に関するリスクの見積りを行っているか 法第28条の2、RA指針の8・9 元方事業者又は関係請負人
⑦上記②の結果を踏まえ、リスク低減措置の内容(解体手順、使用機械、立入禁止範囲、退避方法、必要な支持・拘束・補強、連絡体制等)を検討し、解体対象物の崩壊・倒壊、解体作業箇所からの墜落・転落等の災害防止措置を確実に講じているか 法第28条の2、RA指針の10 元方事業者又は関係請負人
⑧解体手順又は施工条件に変更が生じた場合、再度リスクアセスメントを実施しているか 法第28条の2、RA指針の10 元方事業者又は関係請負人
⑨協議組織の設置及び運営、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視、関係請負人が行う教育に対する指導及び援助、関係請負人が安衛法令に基づき講ずべき措置についての指導を実施しているか 法第30条第1項 元方事業者
⑩工程計画及び機械等配置計画を作成し、関係請負人が作成した作業計画が当該計画に適合するよう指導しているか 法第30条第1項第5 号、則第638条の3及び第638条の4 元方事業者
⑪元方事業者が作成した工程計画及び機械等配置計画を踏まえ、これらに適合する作業計画を作成し、当該作業計画により作業を行っているか。また、元方事業者の確認を受けているか 法第20条、則第155条、ク則第66条の2第1項等 関係請負人
⑫元方事業者が講ずる上記⑨に応じて、協議組織への参加等必要な措置を講じているか 法第32条第1項 関係請負人
⑬クレーンの解体の作業を行う場合、
  • 作業を指揮する者を選任し、当該者のもとに作業を実施しているか
  • 作業区域への立入禁止、その旨の表示を行っているか
  • 強風等の悪天候のために作業の危険が予想される際に作業中止としているか
法第20条、ク則第33条 関係請負人
⑭作業従事者は、元方事業者が講ずる措置の遵守、元方事業者又は関係請負人が講ずる措置の実施を確保するためにする指示に従っているか 法第32条第6項及び第7項(※) 元方事業者又は関係請負人
法:労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)  則:労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)
ク則:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)
RA指針:危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成18年指針公示第1号)
※労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)による改正後は、法第32条第7項及び第8項(令和9年4月1日施行)

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