平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に係る災害復旧工事における労働災害防止対策については,平成23年3月18日付基安安発0318第2号及び基安化発0318第9号「東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底について」に基づき,関係行政機関等と連携のもと,管内の被害状況に応じた労働災害防止対策を徹底することとしているところである。
今般,別添のとおり建設業関係団体等に対し,今後想定される災害復旧工事の状況に応じた具体的な労働災害防止対策への取組を要請したところであるので了知の上,関係事業者,業界団体等に対し必要な指導・援助を実施するとともに,被災者等が災害復旧工事の実施に伴い,健康障害や災害に遭わないよう,関係自治体とも連携の上,必要な周知,注意喚起を実施されたい。
なお,粉じんばく露防止の観点から,がれきの処理等に従事する関係事業者,労働者に対して呼吸用保護具の着用を勧奨する必要があるが,別添の記の3(1)に示した使い捨て式防じんマスクを別途貴局あて送付することを予定しているため,現場パトロール等の際や労働局の窓口において配布されたい。
基安安発0328第2号
基安労発0328第1号
基安化発0328第2号
平成23年3月28日 |
都道府県労働局労働基準部長殿
(岩手,宮城,福島,茨城,栃木,千葉の6労働局を除く) |
厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長
労働衛生課長
化学物質対策課長 |
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平成23年東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における
労働災害防止対策の徹底について(その2) |
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平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に係る災害復旧工事における労働災害防止対策については,平成23年3月18日付基安安発0318第2号及び基安化発0318第9号「東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底について」に基づき,関係行政機関等と連携のもと,管内の被害状況に応じた労働災害防止対策を徹底することとしているところである。
今般,別添のとおり建設業関係団体等に対し,今後想定される災害復旧工事の状況に応じた具体的な労働災害防止対策への取組を要請したところであるので了知の上,関係事業者,業界団体等に対し必要な指導・援助を実施するとともに,被災者等が災害復旧工事の実施に伴い,健康障害や災害に遭わないよう,関係自治体とも連携の上,必要な周知,注意喚起を実施されたい。 |
(別添)
基安安発0328第1号
基安労発0328第2号
基安化発0328第1号
平成23年3月28日 |
別記の団体の長あて |
厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長
労働衛生課長
化学物質対策課長 |
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平成23年東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における
労働災害防止対策の徹底について(その2) |
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建設業における労働災害防止につきましては,平素から格段の御理解,御協力をいただきお礼申し上げます。
さて,平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に係る災害復旧工事における労働災害防止対策につきましては,別紙1「平成23年東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底について」(平成23年3月18日付け厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長・化学物質対策課長連名通知。以下,「連名通知」という。)のとおり主要建設業関係団体等を通じ,その徹底に御協力いただいているところですが,今後の災害復旧工事における労働災害防止対策のより一層の徹底を図るため,連名通知に加え,下記の事項に留意した施工が行われるよう,貴協会会員各位に対し周知を図っていただきますようお願いします。
また,災害復旧工事の実施に当たっては,これに伴い,被災者等が健康障害や災害に遭わないよう,特段の配慮をお願いいたします。 |
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記 |
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1 |
建築物等の解体,改修工事,がれきの処理における労働災害防止対策について |
(1) |
がれきの処理等における安全対策について
災害復旧工事の円滑な実施のため,当面,がれきの処理等が優先的に実施されることが想定されるため,その実施に当たっては別紙に加え,以下の事項に特に留意する必要があること。 |
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ア |
円滑な災害復旧の観点から短期間での作業が求められるため,複数の事業者が混在して同時に作業を行うことが想定されるため,作業間の連絡調整,作業開始前のミーティング等を綿密に実施すること。また,被災者が震災後の住居跡に立ち入ること等も想定されるため,作業区域に立ち入り禁止措置を講じ,又は監視員を配置する等被災者等を巻き込む災害の防止にも留意すること。 |
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イ |
がれきの処理等に当たっては,車両系建設機械を使用した作業と人力による作業が輻輳して行われることが想定されるため,作業全体の計画を作成し,これに基づく作業を徹底すること。
特に,地震の影響によって発生した液状化砂の飛散により,視界が悪い中で作業が行われるため,視界を確保するためのゴーグルの着用に加え,各作業者が担当する作業範囲を明確に区分けする等により車両系建設機械相互若しくは車両系建設機械と作業員との接触防止を徹底すること。 |
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ウ |
不安定な作業場所において車両系建設機械を使用して作業を行うこととなるため,車両系建設機械の転倒防止対策の徹底を図ること。 |
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エ |
車両系建設機械の運転の業務については,技能講習を修了した者等必要な資格を有する者を行わせること。 |
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オ |
車両系建設機械については,過酷な使用状況で長時間これを使用することとなるため,点検・整備等を適切に実施すること。 |
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カ |
「ニブラ」,「グラップラ」など車両系建設機械に該当せず,労働安全衛生関係法令上の規制を受けない機械についても,車両系建設機械に準じ,上記のイ~オに準じた取扱いを行うこと。 |
(2) |
石綿等ばく露の防止対策について
連名通知の別添の記6について,建築物等の中には,建築時期によっては天井,壁,内装材,床材,耐火被覆材,屋根材等に石綿が使用されているものがあるため,地震による被害を受けた建築物等の解体・改修等や建材等のがれき処理等の際に石綿粉じんが飛散する可能性がある。
このため,建築物等の解体・改修等や建材等のがれき処理等に当たっては,以下の事項に特に留意する必要があること。 |
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ア |
建材等のがれき処理等に当たっては,以下の事項に特に留意する必要があること。 |
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(ア) |
労働者が石綿粉じんを吸い込まないようにするため,呼吸用保護具(防じんマスク又は電動ファン付き呼吸用保護具)を使用すること。
なお,防じんマスクの使用に当たっては,使用前に漏れがないか確認するためのフィットチェックを必ず行った上で適切に使用すること(別紙2参照)。 |
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(イ) |
石綿粉じんを飛散させないために,作業を開始する前に予め建築物等に散水,薬液を使用することにより,湿潤な状態とすること。 |
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(ウ) |
関係者以外の者が石綿粉じんにばく露しないように,被災者等も含め,関係者以外の者の立ち入りを禁止すること。 |
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イ |
建築物等の解体・改修等に当たっては,建築物等について,石綿の含有の有無を調査し,石綿の含有が確認された場合は,石綿障害予防規則に基づき,労働者の石綿粉じんによるばく露防止対策をとること。
なお,石綿粉じんのばく露防止対策の徹底に当たって,参考に掲げた通知等を参考にされたい。
また,厚生労働省では,今後,被災地の都道府県労働局を通した関係者に対する防じんマスク等の提供及び解体等の現場における石綿粉じん濃度の測定の実施を検討中であること。 |
2 |
応急仮設住宅の建築における安全対策について
地震による被害を受けた建築物,構造物の復旧とは別に,災害復旧工事の一環として被災者の当面の生活を確保するために応急仮設住宅の建築が優先的に実施されているが,その建築に当たっては以下の
事項に特に留意する必要があること。 |
ア |
円滑な災害復旧の観点から短期間での作業が求められるため,複数の事業者が混在して同時に作業を行うことが想定されるため,作業間の連絡調整,作業開始前のミーティング等を綿密に実施すること。 |
イ |
建築資材の荷役等移動式クレーンを用いて行う作業や基礎施工に伴うくいの打設等車両系建設機械を用いて行う作業については,作業計画を作成し,これに基づく作業を徹底すること。 |
ウ |
地震や津波の影響により地盤が緩んでいる等不安定な場所において作業を行う場合には,敷鉄板の敷設等移動式クレーンや車両系建設機械の転倒防止を図ること。 |
エ |
移動式クレーン,車両系建設機械の運転の業務については,免許を受けた者や技能講習を修了した者等必要な資格を有する者に行わせること。 |
オ |
高所作業を行う場合については,安全帯の使用等墜落防止対策の徹底を図ること。なお,脚立や作業台を用いて行う高さ2メートル未満の場所における作業についてもこれに準じて墜落防止対策を講ずること。 |
カ |
くいの高さ調整に使用する「チェーンソー」や鉄骨の組立に使用する「インパクトレンチ」,内装仕上げ等に使用する「携帯用丸のこ盤」等各種の機械・器具の使用に当たっては,安全装置の適切な使用や必要な保護具の着用等を徹底すること。 |
3 |
その他 |
(1) |
粉じん障害防止対策
建築物等の解体やがれきの処理等においてはこれに伴う粉じんの発生や上記1(2)イに示した「液状化砂の飛散」が懸念されるため,粉じんばく露防止の観点から呼吸用保護具を使用することが適当であること。なお,今後,(社)日本保安用品協会から無償提供された使い捨て式防じんマスクを岩手,宮城,福島,茨城,栃木,千葉の6県の労働局の窓口で配布するとともに,被災地における災害復旧工事現場を対象とした現場パトロール等の際に配布することを予定しているので積極的にこれを活用されたい。 |
(2) |
一酸化炭素中毒の防止
災害復旧工事の実施に当たり,発電機等の内燃機関を有する機械やコンクリートの養生等に用いられる練炭を,自然換気が不十分な屋内作業場所で使用すると,一酸化炭素中毒が発生するおそれがあるため,このようなところでは発電機,練炭コンロ等を極力使用しないこと。やむを得ず使用する場合においては,十分な換気を行うこと。通常使っている換気装置が停電,故障により使えない場合があるので留意すること。 |
(3) |
有害物,危険物等による中毒,爆発,火災等の防止
工場等における復旧工事を実施するに当たっては,当該工場等において有害物,危険物等が使用,保存されていたおそれがあるため,事業者から,当該工場等において取り扱われていた化学物質の関連情報を可能な限り入手し,必要な対応をとること。また,事業者が不在で連絡がとれず情報が入手できないような場合においても,化学工場等の解体の際には,予め労働者に適切な保護具をつけさせる等の必要な対策を講じることにより,中毒,爆発,火災等の災害防止対策の徹底を図ること。
なお,変圧器やコンデンサー等の電気設備については,pcbが混入しているおそれがあるので,機器を破損しないように注意すること。 |
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(別記団体)
社団法人全国建設業協会
社団法人日本建設業団体連合会
社団法人日本土木工業協会
社団法人建築業協会
社団法人プレハブ建築協会
社団法人建設産業専門団体連合会
社団法人全国解体工事業団体連合会
建設業労働災害防止協会 |
(別紙1)
基安安発0318第2号
基安化発0318第9号
平成23年3月18日 |
都道府県労働局労働基準部長あて |
厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長
化学物質対策課長 |
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平成23年東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底について |
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平成23年3月11日に平成23年東北地方太平洋沖地震が発生し,建設物,交通機関,電話,電気,ガス,水道等の施設に大きな被害が生じ,現在においても,地震により損傷した原子力発電所に対する緊急対応が実施されているところである。
また,地震により多くの方々が避難所での生活を余儀なくされており,これらの方々への支援も緊急を要する状況にある。
一方で,国土交通省は,関係発注機関に対して応急復旧の優先的実施を要請しており,今後,災害の状況に応じ,地域によっては被害を受けた建設物の解体・改修工事や交通機関等の災害復旧工事が早急に行われることとなるため,それら工事における労働災害防止対策の徹底を図る必要がある。
ついては,貴職におかれても,災害復旧工事等における労働災害防止のため,管内の被害状況に応じ,発注機関との連携を図りつつ,関係事業場等に対して,土砂崩壊による労働災害防止対策のほか,津波,建設機械等による労働災害防止対策の適切な実施について周知徹底するとともに,必要に応じ災害復旧工事現場に対して指導をされたい。
なお,別添のとおり建設業労働災害防止協会会長並びに社団法人全国建設業協会会長及び社団法人日本建設業団体連合会会長に対し,平成23年東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底を要請したので,了知されたい。
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別添
基安安発0318第1号
基安化発0318第8号
平成23年3月18日 |
建設業労働災害防止協会会長
社団法人全国建設業協会会長
社団法人日本建設業団体連合会会長
あて |
厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長
化学物質対策課長 |
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平成23年東北地方太平洋沖地震による災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底について |
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建設業における労働災害防止につきましては,平素から格段の御理解,御協力をいただきお礼申し上げます。
さて,平成23年3月11日に平成23年東北地方太平洋沖地震が発生し,建設物,交通機関,電話,電気,ガス,水道等の施設に大きな被害が発生しました。
政府においては,災害応急活動に総力を挙げて取り組んでいるところでありますが,今後,災害の状況に応じ,地域によっては被害を受けた建設物の解体・改修工事や交通機関等の災害復旧工事を早急に進めることが必要となります。
つきましては,災害復旧工事における労働災害防止対策のより一層の徹底を図るため,特に下記の労働災害防止に十分留意した施工が行われるよう,貴協会会員各位に対し周知を図られたくお願いいたします。 |
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記 |
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1 |
余震の発生に留意した安全な施工
引き続き余震が発生する可能性があるので,津波による災害を含め余震による二次災害の防止に留意した安全な施工の徹底を図ること。 |
2 |
土砂崩壊災害の防止
作業箇所等を事前に十分に調査し,調査結果を踏まえた作業計画を策定した上で,これに基づき作業を行うこと。
点検者を指名して,地山の異常をできるだけ早期に発見するよう努めること。
土砂崩壊のおそれがある場合には,あらかじめ堅固な構造の土止め支保工を設けること。 |
3 |
港湾施設,防波堤,道路,鉄道等の復旧工事における災害の防止
港湾施設や防波堤の補修工事,路盤の補修,軌道の付替,橋桁や橋脚の補修工事等が行われることが予想されるため,移動式クレーン,建設機械等による災害の防止対策のほか,津波による災害の防止等の徹底を図ること。 |
4 |
電気・通信工事における災害の防止
電気・通信施設の復旧のためには,高所作業,高所作業車を用いる作業等が行われるので,墜落防止措置,高所作業車の転倒防止措置等の徹底を図ること。 |
5 |
ガス・水道復旧工事における災害の防止
掘削作業に伴う土砂崩壊災害防止措置のほか,各種の建設機械等による災害の防止対策の徹底を図ること。 |
6 |
建築物等の解体,改修工事,がれきの処理における石綿等ばく露の防止
防じんマスクの使用等の石綿粉じんのばく露防止対策の徹底を図ること。 |
7 |
土石流災害の防止
作業場所から上流の河川の形状等を事前に十分に調査すること,土石流の早期把握等の措置を講ずるための警戒降雨量基準,作業を中止して労働者を退避させるための作業中止降雨量基準等を必要に応じ見直すこと,警報用設備及び避難用設備の点検を実施するとともに,警報及び避難の方法等について労働者に十分周知すること等により,土石流災害防止対策の徹底を図ること。 |