危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に関する指針
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第60条の2第2項の規定に基づき、危険又は有害な業務に現に ついている者に対する安全衛生教育に関する指針を次のとおり公表する。
Ⅰ 趣旨
この指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第60条の2第2項の規定に基づき事業者が労働 災害の動向、技術革新等社会経済情勢の変化に対応しつつ事業場における安全衛生の水準の向上を図る ため、危険又は有害な業務に現に就いている者(以下「危険有害業務従事者」という。)に対して行う、 当該業務に関する安全又は衛生のための教育(以下「安全衛生教育」という。)について、その内容、 時間、方法及び講師並びに教育の推進体制の整備等その適切かつ有効な実施のために必要な事項を定めたものである。
事業者は、危険有害業務従事者に対する安全衛生教育の実施に当たっては、事業場の実態を踏まえつつ本指針に基づき実施するよう努めなければならない。
Ⅱ 教育の対象者及び種類
1 対象者
次に掲げる者とする。
(1) 就業制限に係る業務に従事する者
(2) 特別教育を必要とする業務に従事する者
(3) 1又は2に準ずる危険有害な業務に従事する者
2 種類
1に掲げる者が当該業務に従事することになった後、一定期間ごとに実施する安全衛生教育(「定期教育」)又は取り扱う機械設備等が新たなものに変わる場合等に実施する安全衛生教育(「随時教育」)とする。
III 教育の内容、時間、方法及び講師
1 内容及び時間
(1) 内容
労働災害の動向、技術革新の進展等に対応した事項
(2) 時間
原則として1日程度とする。
なお、安全衛生教育の内容及び時間は、教育の対象者及び種類ごとに示す別表の危険有害業務従事者 に対する安全衛生教育カリキュラムによるものとする。また、取り扱う機械設備等が新たなものに変わ る場合等に実施する随時教育は、運転操作方法のほか点検整備等の実技に関する事項を加えたものとする。
2 方法
講義方式、事例研究方式、討議方式等教育の内容に応じて効果の上がる方法とする。
3 講師
当該業務についての最新の知識並びに教育技法についての知識及び経験を有する者とする。
IV 推進体制の整備等
1 教育の実施者は事業者であるが、事業者自らが行うほか、安全衛生団体等に委託して実施できるも のとする。
事業者又は事業者の委託を受けた安全衛生団体等はあらかじめ安全衛生教育の実施に当たって実施責任者を定めるとともに、実施計画を作成するものとする。
2 事業者は、実施した安全衛生教育の記録を個人別に保存するものとする。
3 安全衛生教育は、原則として就業時間内に実施するものとする。
別表
危険有害業務従事者に対する安全衛生教育カリキュラム
1~4 略
5 クレーン運転士安全衛生教育
科 目 |
範 囲 |
時 間 |
1 最近のクレーンと安全装置 |
(1) 構造と制御機構
(2) 安全装置等 |
2.0 |
2 クレーンの取扱いと保守管理 |
(1) 操作方法
(2) 作業計画
(3) 点検・整備 |
2.5 |
3 災害事例及び関係法令 |
(1) 災害事例とその防止対策
(2) 労働安全衛生法令のうちクレーンに関する条項 |
1.5 |
計 |
|
6.0 |
6 移動式クレーン運転士安全衛生教育
科 目 |
範 囲 |
時 間 |
1 最近の移動式クレーンと安全装置 |
(1) 構造と制御機構
(2) 安全装置等 |
2.0 |
2 移動式クレーンの取扱いと保守管理 |
(1) 操作方法
(2) 作業計画
(3) 点検・整備 |
2.5 |
3 災害事例及び関係法令 |
(1) 災害事例とその防止対策
(2) 労働安全衛生法令のうち移動式クレーンに関する条項 |
1.5 |
計 |
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6.0 |
7~14略
15 玉掛業務(労働安全衛生法施行令第20条第16号の業務)従事者安全衛生教育
科 目 |
範 囲 |
時 間 |
1 最近の玉掛用具等の特徴 |
(1) 玉掛用具等の構造上の特徴
(2) クレーン等の安全装置等の特徴 |
1.0 |
2 玉掛用具等の取扱いと保守管理 |
(1) 玉掛作業の安全
(2) 玉掛用具等の点検・整備 |
2.5 |
3 災害事例及び関係法令 |
(1) 災害事例とその防止対策
(2) 労働安全衛生法令のうち玉掛けに関する条項 |
1.5 |
計 |
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5.0 |
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