1.1 構造 |
「墜落制止用器具の規格」の(構造)第3条には、フルハーネス型の構造について次のように規定されている。 |
① |
墜落を制止するときに、着用者の身体に生じる荷重を肩、腰部および腿等においてフルハーネスにより適切に支持する構造であること。 |
② |
フルハーネスは、着用者に適切に適合させることができること。 |
③ |
ランヤード(ショックアブソーバを含む。)を適切に接続したものであること。 |
④ |
バックルは、適切に結合でき、はずれにくいものであること。 |
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上記の規定を満たした構造の一例を図1に、フルハーネス型を装着した状態のイメージ図を図2で示している。 |
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1.2 特長 |
フルハーネス型は、複数のベルトで身体を支持する構造であるため次のような特長がある。 |
①衝撃荷重が身体の主要部に加わる。 |
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フルハーネス型は、肩・腿部等複数のベルトで身体を支持するため、墜落阻止時に加わる衝撃荷重を体の主要部(肩・腿部等)で受け止めることができる。 |
②身体の保持機能が優れている。 |
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複数のベルトで身体を支持するため、墜落阻止時に身体を確実に保持し、ベルトのずり上がりが少なく、身体のすっぽ抜け等のリスクが極めて低い。 |
③宙つり状態の体勢が安定している。 |
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墜落阻止時および制止時(宙つり状態)の体勢が、ほぼ直立状態で保持できるため、身体に加わる苦痛が軽減できる。 |
ここで、フルハーネス型の特徴である墜落阻止時およびその後の宙つり状態の体勢が安定していることを確認するため、人体ダミーに、フルハーネス型および、胴ベルト型を装着させ、標準的な使用条件を下に落下試験を行い、それぞれの挙動を確認した。図3に試験結果の写真を、その試験結果の概要を下記に示す。 |
胴ベルト型は、ショックアブソーバが作動し始める時点で、胴部で衝撃荷重を受け人体ダミーに傾きが生じた(写真②)。その後、ショックアブソーバが作動しランヤードが伸張した状態では、その傾き角度は大きくなっている(写真③)。 |
次に、ランヤードが収縮すると人体ダミーがリバウンドによる反動で足部が上方に振り上げられる現象が発生した(写真④)。制止時には、人体ダミーが“への字状”の宙つり状態となる(写真⑤)。一方、フルハーネス型は、落下前の体勢をほぼ保持した状態で人体ダミーの挙動は制止する。ランヤード等の収縮により人体ダミーがリバウンドしても挙動に大きな変化は現れなかった(写真④)。また、静止状態もほぼ直立した状態を保つことができている(写真⑤)。 |
いずれも、ランヤードにはショックアブソーバが装備されているため、衝撃荷重は4kN以下(規格値)となったが、人体ダミーの挙動には大きな違いがある。 |
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1.3 フルハーネス装着時の注意事項 |
フルハーネス型の性能を十分に引き出すためには、適正なサイズの製品を選定し、正しく装着する必要がある。 |
サイズの選定にあたっては、製品の外箱やカタログ等に表示されているサイズ選定図(図4)を参考に選定する方法がある。サイズ選定図は、身長と体重から適用範囲を表示しているが、2項で説明するフルハーネスの種類によって多少相違する場合があるので選定の目安とすること。また、メーカー毎によってもサイズ選定図は相違している。フルハーネス型を正しく装着するためには、試着し選定することが望ましい。 |
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下記にフルハーネス型装着時の注意事項と装着方法について説明する。
①注意事項 |
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a) |
バックルがワンタッチ式の場合、確実に連結できているかを確認すること。
(誤った装着ができない構造となったものを選択することが望ましい。) |
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b) |
通常2つ以上のバックルがあるが、これらの組み合わせを誤らないように注意して装着すること。 |
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c) |
装着後、ランヤードを使用しないときは、ランヤードが垂れ下がらないようにすること。
(製品についているフック掛け等にフックを掛けておくこと。) |
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d) |
装着後、相互に確認し正しく装着しているか確認すること。 |
②装着方法 |
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図5にフルハーネス型の装着方法の一例を示している。 |
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墜落制止時に、フルハーネスのずり上がりを抑え、確実に身体が保持(安定した宙つり状態)できるように、各ベルトを緩みなく調節し装着すること。 |
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