積載形トラッククレーンの安全装置等は、移動式クレーン構造規格によって装備と機能の保持が義務付けられています(図6)。
[主な安全装置] (移動式クレーン構造規格)
① |
巻過防止装置等 |
第24条 |
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巻過防止装置 |
第25条 |
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巻過ぎを防止するための警報装置 |
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(巻過警報装置) |
第26条 |
② |
過負荷防止装置及び過負荷防止装置以外の過負荷を防止するための装置 |
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(つり上げ荷重が3トン未満) |
第27条 |
③ |
安全弁等 |
第28条 |
④ |
警報装置 |
第30条 |
⑤ |
傾斜角指示装置 |
第31条 |
⑥ |
外れ止め装置 |
第32条 |
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(1)巻過防止装置、巻過警報装置
巻上げ用ワイヤロープは、巻過ぎるとフックの上面がジブなどに激突してジブを破損させたり、ワイヤロープが切断してつり荷が落下したりするおそれがあります。これを防ぐために、フックが上限の高さまで巻上がると、巻上げ用ワイヤロープに沿って下げられているおもりを押し上げて巻過スイッチが切れて回路を遮断し、自動停止する装置を「巻過防止装置」といい、巻過スイッチの作動により警報を発する装置を「巻過ぎを防止するための警報装置(巻過警報装置)」といいます(図7)。 |
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(2-1)過負荷防止装置
移動式クレーン構造規格では、つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーンは過負荷防止装置の取り付けが義務付けられています。
過負荷防止装置は、以下の仕組みによるものです。
①ジブの長さ、ジブの傾斜角を計測し、計測した現在の姿勢から、コンピューターに記憶させてある定格荷重を導き出します。
②圧力検出器にてジブ起伏シリンダの保持圧力を計測し、上記①で計測したジブの長さ、ジブの傾斜角を勘案してつり荷の質量を計測します。
また、ジブの先端に荷重検出器を装備し、ワイヤロープの張力からつり荷の質量をダイレクトに計測するタイプのものもあります。
③上記①、②を比較し、クレーンの負荷状態が定格荷重に近づくと警報を発して運転を行う者に注意を喚起するか、又は定格荷重を超えると自動的にクレーンの作動を停止させます。 |
(2-2)過負荷防止装置以外の過負荷を防止するための装置
平成30年2月26日の移動式クレーン構造規格の改正(厚生労働省告示第33号※1)によって、平成31年3月1日以降に製造される、つり上げ荷重が3トン未満の移動式クレーンにも、荷重計が認められなくなり、過負荷防止装置または過負荷を防止するための装置(安全弁および荷重計を除く)として、「定格荷重指示装置※2」または「定格荷重制限装置※3」)の取り付けが義務付けられました。
これにより安全性が格段に向上しており、荷重計のみを装備している積載形トラッククレーンをお使いの方の買い替えが、迅速に進むことが望まれるところです。
※1 |
クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置構造規格等の一部を改正する告示 |
※2 |
定格荷重指示装置:定格荷重を超えるおそれがある場合に、当該荷の荷重が定格荷重を超える前に警音を発する機能を有する装置 |
※3 |
定格荷重制限装置:定格荷重を超えた場合に、直ちに当該移動式クレーンの作動を自動的に停止する機能を有する装置 |
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(2-3)荷重計
平成31年3月1日より前に製造された、つり上げ荷重が3トン未満の移動式クレーンは、過負荷を防止するための装置として、つり上げる質量を検出する荷重計が取り付けられています。
荷重計の中でも油圧式荷重計は、巻上装置用油圧モーターの作動圧力を質量に変換したものです(図8)。したがって、巻上装置の巻上げ時のみつり荷の質量を示し、停止時や巻下げ時、また他の操作時にはつり荷の質量を示さないのでメーカーの取扱い説明を十分理解して使用する必要があります。
また、ジブの先端に荷重検出器を装備し、ワイヤロープの張力からつり荷の質量をダイレクトに検出するタイプもあります。このタイプですと、油圧式荷重計と異なり、常時つり荷の質量を表示してくれるもので、油圧式の荷重計よりも安全性が向上しています。 |
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(3)安全弁等
安全弁は、油圧回路の異常な圧力上昇を防止し、油圧機器を保護するための装置です。 |
(4)警報装置
警報装置は、移動式クレーン作動時に周囲に警報を発して、つり荷にはさまれる等の災害を防止するための装置です。 |
(5)ジブ傾斜角度計(荷重指示計)
ジブ傾斜角度計は、ジブの傾斜角を表示する装置でジブ側面に取り付けられています。荷重指示計は、ジブの傾斜角、ジブの長さによるアウトリガー最大張出時の空車時定格総荷重の関係を表示する装置で、ジブ側面に取り付けられています(図9)。
荷重指示計(図9)は、ジブを起伏させたときに、各ジブの長さによって空車時定格総荷重を指針が示しますので、これを読み取って荷重計が示した荷重と比較し、荷重指示計(図9)の空車時定格総荷重を超えないよう注意して操作する必要があります。 |
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(6)外れ止め装置
外れ止め装置は、荷をつり上げる場合のフックから玉掛け用ワイヤロープ等が外れるのを防止するための装置です(図10)。 |
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