英国において、COVID―19から回復し、ウイルスに対する免疫グロブリンG(IgG)抗体を持っていた医療従事者が、その後6 ヶ月間に再感染した例はほとんどなかったことが、New EnglandJournal of Medicine に2020年末に発表された研究結果かで示されている。抗スパイク抗体の存在が追跡期間中のSARS―CoV―2感染のリスクを大幅に低下させることと関連しており、抗体陽性のスタッフでCOVID―19の再感染が発生したのは2 例のみで、いずれの陽性者も無症状であった。しかし、過去の陽性抗体の結果や現在の抗体レベルが免疫力を決定するのか、あるいは今回測定されていないT 細胞(免疫細胞)による保護によってもたらされるのか、結論を出すことはできないと述べられている。また小児、高齢者、免疫抑制などの基礎疾患を持つ人など、抵抗力の少ないと考えられる人を対象にした評価ならびに今後の研究が必要とされている(https://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2020/12/studycovid-antibodies-may-fend-reinfection-6-months)。
新しい病原体の流行にあたっては、十分な情報が不足していることもあり、リスクコミュニケーションに対しても注意が必要である。WHO(世界保健機関)は米国CDC(疾病管理センター)の感染症のアウトブレイクに関する危機緊急時におけるリスクコミュニケーションの6 つの原則に基づき、新型コロナウイルスに関するリスクコミュニケーションガイダンスをホームページで提供している。感染症の危機緊急時におけるリスクコミュニケーションの6 つの原則:① Be First(速やかに共有する)情報を伝えるだけでなく、「誰が」伝えるかが重要である、② Be Right(正しい情報を)「分かっていること」と「分かっていないこと」の両方を伝える、③ Be Credible(信頼を得る)「科学的に根拠のある情報」が受け手の信頼を高める、④ Express Empathy(気持ちに寄り添う)受け手の視点に立って情報を伝える、⑤ Promote Action(行動を支える)一人ひとりの行動が感染予防につながることを強調する、⑥ Show Respect(相手を尊重する)相手の立場や権利を思いやる伝え方を心がける、が重要であり、適切なタイミングで情報発信や情報共有が可能となるプラットフォームの構築が求められる。感染症に関する情報だけでなく、感染者が発生した場合はプライバシーに配慮した情報共有が必要となるため、情報開示の範囲やその手順を事前に定めておくことも重要である。