「ミニ・クローラクレーン」の転倒災害は、主に次のことが原因で発生しています。
①アウトリガーの張出しが不完全だった。
②オーバーロード(過荷重)だった。
③アウトリガーを設置した地盤が軟弱だった。以下に、その対策を述べます。
(1)アウトリガーの張出しが不完全
「ミニ・クローラクレーン」は、アウトリガーを地形・地盤に合わせて設置することが可能ですが、相反する危険が存在することを忘れてはなりません。 |
【対策1】
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アウトリガーは、最大(標準)張出し状態でクレーン作業を行う。 |
『アウトリガー最大(標準)張出し状態』を図6に示します。 |
① |
アウトリガーの設置角度を、最大(標準)角度にする。 |
② |
アウトリガー屈折部のピンを、最大位置にする。 |
③ |
アウトリガーのスライド部を、最大に引き出す。 |
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取扱説明書、クレーン運転士教本などには『アウトリガーは必ず最大張出しで作業してください』と説明されています。
図7および表1の事例では、定格荷重表を見ると、最大張出しの状態で作業半径2.5mでは定格荷重が1.38トンです(例1)。狭い通路などでアウトリガーが最大張出し状態で設置できない時は、作業半径2.5mでは定格荷重が0.34トンです(例2)。 |
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取扱説明書には、アウトリガーの旋回設置角度によるクレーン作業を禁止している範囲が明示されていますので、確認しておくことが必要です(図8)。
最大張出しのアウトリガー方向から、最大張出しができなかったアウトリガーの方向へ旋回する場合に、転倒災害が多く発生しています。 |
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(2)オーバーロード(過荷重)
「ミニ・クローラクレーン」は、積載形トラッククレーンと比較して機体質量が軽いので、アウトリガーを最大(標準)張出しにすることが必要です。 |
【対策2】
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アウトリガーを最大(標準)張出しにする。 |
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定格荷重を確認して、クレーン作業を行う。 |
『定格荷重』とは、荷をつり上げ旋回しても転倒しない、どの位置でも安全につり上げることのできる荷重です。
図9のような場合には、作業禁止範囲への旋回作業は厳禁です(転倒します)。ご使用になるクレーンの定格荷重表にて、安全に旋回作業ができるか確認しておきましょう。 |
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(3)アウトリガーを設置した地盤が軟弱
クレーンを設置する地盤の状況等の確認は、安全作業の必須条件であり、クレーン作業開始前の基本的な確認事項の一つです。これを怠ると、必ず転倒事故につながります。アウトリガーを最大(標準)位置に張り出しても、設置した地盤が軟弱であれば転倒します。
【対策3】
・アウトリガーを設置する地盤の状況をクレーン作業開始前に点検する。
・必要に応じて地盤に養生をする。
「ミニ・クローラクレーン」は、山間部および不整地の未舗装地面にアウトリガーを設置することも少なくありません。敷板、枕木、盤木等々の準備をしておき、これらを適切に使用して、アウトリガーから地盤に加わる接地圧を下げることが必要です。敷板等を使用していても、クレーン作業により外れることがありますので、作業中でも確認してください。 |
「ミニ・クローラクレーン」は、最近の建築現場でもよく見かけることがありますが、床面上でクレーン作業をする場合は、床面の強度が心配になります。床面の強度にも限界がありますので、アウトリガーから床面に加わる荷重を算出して、安全を確認することも是非行ってください(図10)。 |
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