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最新の熱中症対策用品について
spacer.gif ニシオレントールTC ㈱
 東日本事業部長
 取締役
 平 清二郎
1 はじめに
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 熱中症(hyperthermia)とは、暑熱環境下においての人間の身体適応の障害によって起こる状態の総称です。めまいや失神、筋肉痛や筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・意識障害・けいれん・手足の運動失調、高体温など、様々な症状があらわれます。
 軽度の段階の熱中症であれば、涼しい場所で身体を冷やすなどの適切な応急処置を施せば、ほとんどの場合は回復しますが、手当が遅れると重症化し、命に関わるケースもあるのが熱中症の恐ろしいところです。近年の地球温暖化の影響も関係すると考えられますが、気温の上昇も季節の早い段階で進んでいるので、外部・内部様々な要因がある事を理解し、早めの対策を実施する事が重要です。
 


2 熱中症に至る4つの要因!
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 熱中症には、主に下記4つの要因があります。十分に理解をして対策をする事が重要です。
① 環境要因
  • 気温、湿度が高い
  • 放射熱が強い
  • 風の有無
② 作業要因
  • 身体作業が強い
    (重量物の運搬や体を激しく動かす 等)
  • 休息時間が少ない
③ 衣服要因
  • 通気性、透湿性のない衣服を着用している
  • 保湿性、吸熱性の高い衣服を着用している
  • ヘルメット等、安全保護具の装着
④ 人体要因
  • 暑さに慣れていない
  • 水分、塩分の補給不足
  • 高血圧、糖尿病、心疾患、肝臓病、精神疾患の治療中
  • 肥満、二日酔い、睡眠不足、朝食を取っていない
  • 高齢者である
* これらの要因が複合的に影響するため、かならずしも高温多湿の環境下でなくても熱中症の危険性があります。
 


3 暑さ指数について
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 暑さ指数(WBGT[湿球黒球温度]:Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防する為に1954年にアメリカで提案された指標です。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は、気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気の熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の多い
① 気温
② 湿度
③ 輻射熱
(日射しを浴びたときに受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱で、温度が高い物からは、たくさん出ます)の3つを取り入れた指標です(図1参照)。
 この指標は、環境省「熱中症予防情報サイト」で確認出来ます。https://www.wbgt.env.go.jp/(令和6年度の暑さ指数・熱中症警戒アラートの情報提供は、2024年4月末に開始予定である)
 


4 熱中症対策用品
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 先ずは、普及が進んでいる対策用品です。
① ヘルメット防暑タレ(写真1参照)
② 遮熱ヘルメット(写真2参照)

・遮熱樹脂を帽体に練り込んだヘルメットで、フロントベンチレーション機能との相乗効果で熱中症リスクを低減します。
③ クールベスト(写真3参照)
④ 空調服(写真4参照)
⑤ 飲む熱中対策商品(写真5参照)
 商品説明
  • リポビタンアイススラリーSportsは、凍らせて水分中に分散した微細な氷をそのまま飲める、熱中対策にも適した清涼飲料です
  • エネルギーの源クエン酸とビタミンB1・B2・B6に加え運動時に汗で失われやすい塩分を摂取可能
 


5 最新の熱中症対策用品
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① 作業者体調管理IoTソリューション
 熱中症を防ぐ為に、作業者に腕時計型ウエアラブルセンサー(写真6参照)を装着して貰い、作業者の体調管理と周辺の暑さ指数をクラウドで管理出来るシステムになります(図2参照)。
■仕様
メーカー  ホシデン㈱
外形寸法
約39.0×25.0×11.0mm(シリコンバンド除く)
重  量
約9g(シリコンバンド除く)
通  信
Bluetooth® Low Energy
センサ
9 軸センサ(加速度/ジャイロ/コンパス)、気圧センサ、光学脈波センサ
充電池
80mAh リチウムポリマーバッテリー
連続動作
約16時間
クラウド
MEDiTAGクラウド
機  能
脈波、ストレス、健康レベル、歩数、消費カロリー、転倒検知、行動認識、位置測位、モーションキャプチャ
 体温や脈拍など、作業者の通常情報を登録し設定した値に達する事で異変と判断し、管理者に通知するシステムです。早期の対応が可能となり熱中症等の予防に活用する事が出来るので紹介します。腕時計型ウエアラブルセンサーの機能により、上記の図の様に、作業者の位置管理も可能です。
② みまわり伝書鳩+WBGT測定器
 以前ご紹介した、総合気象観測ユニット「みまわり伝書鳩」(参照写真7)にWBGT測定器(参照写真8)を繋げる事で、WBGTを含む16種類のクラウド管理も可能です。
■特徴
  • 風速・風向・気温・湿度・雨量など、様々な気象情報を観測出来ます
  • 観測データは、FOMA回線を使い一分間隔でサーバーに送られパソコン・スマートフォンでいつでも閲覧可能です
  • 異常気象を観測した場合は、任意のメールアドレスに送信可能です
  • オールインワンパッケージで、各種センサーケーブルなどの配線は不要で、FOMAエリアならどこでも設置可能です
  • 現場の気象や環境を、クラウドで一括管理出来ます
  • 気象目安のセンサーユニットとデータ送信の転送ユニットで構成されています
  • 上限下限設定値を超えたらメールで送信する機能があります(送信先は最大20件登録出来ます)
  • 一定間隔毎にデータ送受信を行うため、警報機能が作動するまで遅延が発生する場合があります、詳細はお問い合わせ下さい
■仕様
 メーカー  データテクノロジー
 形  式 SenSu―1501
 測定項目 温度 -20°~+60℃
      湿度 1 ~99%
      雨量 0 ~9999mm
      風向 0 ~359°
      風速 0 ~50m/S
      照度 0 ~300KLx
      紫外線 0~2000uW/cm2
      電源 単 3 ニッケル水素電池×3本
 センサユニット  寸法 W150×H380×D330mm
      重量 1.4kg
      電源 AC100V
 転送ユニット 寸法 W225×H380×D165mm
 作業環境    -20~+60℃
 取付方法  単簡パイプ(48.6Φ)にUボルトで固定
 取付場所 現場で一番高い場所or事務所上側
 更には、「みまわり伝書鳩」を含めて、様々な計測機器をクラウドで一括管理出来るシステムクラウド計測システム「クラウド16」を紹介する
③ クラウド16
■特徴
  • 最大16台の計測機器が接続出来ます(風速、風向、気温、湿度、WBGT、雨量騒音、振動、粉じん等)
    下記、(図3参照)
  • データ閲覧画面は、4・9・16分割で自由にレイアウト可能です
  • 最新データ・過去データ、グラフを表示可能
  • 規制値オーバー時、現場担当者へメールでお知らせ
  • プラウザ画面で各種設定値を変更出来ます
【本商品は、2018年7月、NETIS(新技術情報提供システム)に登録されました。NETIS登録番号:KT―180043―Aです】
④ ジェットノズル
(昨年開発された暑熱対策用空調ノズル)
 既存のスポットクーラーの先端に簡単に取り付けるだけで、体感温度が下がり快適性がそのままでより省エネになります。(写真10・11・12 図4参照)
 この原理は、周辺暖気の誘引を抑制し風がぬるくなりにくいのと吹出気流と周辺空気との空気抵抗を減らし、速い風速を維持しています。
 


6 終わりに
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 2022年建設業の熱中症死傷者は179人となりその内の死亡者は、14人となっております。
 建設業が5年連続トップとなっており、他業種と比較して極めて熱中症の高い業種と言えます。(2023年の熱中症死傷者数は、今後発表です)
 年々酷くなる暑さの中で、熱中症対策は、とても重要であり、日々の体調管理や朝食をしっかり取る事と、そして予防として涼しい服装を心掛けたり水分・塩分補強や、適宜の休憩をはさむ事での体力回復に務める事が大切です。
 纏めとして、熱中対策用品を通じて、熱中症にならない為に、元請会社、請負会社及び作業員に実施してほしい事は、下記の通りです。
  1. 作業員自身が、体調管理に務める事
    適度な睡眠と朝食をしっかり取り、作業中も水分補給と休憩をしっかり取る。体調が悪い時は、無理をせず、元請側に申し出る事
  2. 元請・職長側は、朝礼時や現場パトロール時における作業員への声掛けをし、熱中症への注意喚起を行う事が必要
  3. 元請は快適な休憩施設(冷房完備)と熱中症対策用品と水分補給を提供
  4. 作業員は、体に快適な作業環境を心掛ける
    ファン付きの空調服の着用や、防暑タレ着用
    元請側は、適宜の休憩を促し作業時間を管理
  5. IoT機器を活用した健康・危機管理
  6. ( 元請側は作業員の健康状況をIoT機器で管理する事で早めに注意喚起する事が出来る)
 以上、熱中症は発症すると死亡にも繋がる重大災害となり得ます。早めの予防をすれば減らす事も出来るので現場全体で対策を講じる事が重要です。
 


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