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積載形トラッククレーンによる災害件数の現状と安全対策機器事情(2)
spacer.gif  古河ユニック㈱
 事業企画部 事業企画課技師長
 兼 営業本部 国内営業部
 営業推進課技師長
 河田良宣
1 はじめに
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 前回までは積載形トラッククレーンによる災害件数の現状について述べてきました。
 後編となる 2回目では、最新のトラック架装用ユニッククレーン「G-FORCE」シリーズ(図1)に装着された安全対策の機器についてご紹介いたします。
 QR コードを添付した説明では、それをスマートデバイスなどで読み込むと動画に接続します。動画も一緒にご覧いただければ、より理解が深まると思います。


2 最新のユニッククレーン「G-FORCE」シリーズによる安全対策
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 ユニッククレーン「G-FORCE」シリーズに搭載された最新技術が、災害への未然防止にどのように役立つのかについて紹介します。
2-1 常時正確な質量を測定する「デジタル式荷重計」
 従来のアナログ式荷重計によるつり上げ荷重の測定・把握などは、測定方法が複雑かつ面倒な手順が必要でした。また、フックの巻き上げ作動中にしか荷重を読み取ることができませんでした
(詳細は前回の記事をご覧ください)。
 デジタル式荷重計は、つり荷をフックに吊下するだけで、容易につり荷重の常時見える化を可能にした装置です。その機構はロードセルを採用しているため、正確な質量を測定することができます。
2-2 過負荷作業によるクレーンの折損、転倒事故を防止する「過負荷防止装置」
 クレーン作業は定格総荷重(フックなど吊具の質量も含んだ数値)の範囲内で行うことが基本です。しかし長年、作業者の経験に拠るところも多かったのですが、事故防止と国際基準への整合を図るため、「移動式クレーン構造規格」の一部改正(厚生労働省告示第33号)に伴い、平成31年(2019年)3月1日以降に製造する、つり上げ荷重3トン未満の移動式クレーン等には、過負荷防止装置、または荷重計以外の過負荷を防止するための装置を備えることが義務化されました。
 ユニッククレーン「G-FORCE」シリーズは、安全強化モデルとして、過負荷状態になるとクレーンの作動が自動停止する「ML 停止型(定格荷重制限装置付)」(図3)、過負荷が近いことを音声メッセージで注意喚起する「ML 警報型(定格荷重指示装置付)」(図4)のいずれかを標準装備としました。
 また ML 停止型と ML 警報型を切り換える仕様もオプションとして用意しています。
 
2-3 走行時の格納忘れによる接触事故を防止する
 「ブーム・アウトリガ未格納警報装置」

 ブームまたはアウトリガが未格納の状態で、作業者が車両を走行させようとパーキングブレーキを解除すると、運転席のランプとブザーで警告します。
2-4 ブーム未格納やアウトリガ未設置による転倒事故を防止する
 「ブーム・アウトリガインターロック装置(ML警報型はオプション)」

 作業開始時はアウトリガを設置しないとクレーン操作ができず、また、作業終了時はブームを伏せて車幅内に格納しないと縦アウトリガの格納操作ができません(図6)。
2-5 作業中の思いがけない接触事故を防止する「高さ制限装置」
 予告領域に達すると音声メッセージで警告し、制限高さに達すると自動で停止します(図7)。
2-6 通行人・通行車両などへの接触事故を未然に防止する
 「旋回領域規制装置(オプション)」

 トラック車両の左右端いずれかを境界線として、ブーム動作(伸、伏、旋回操作)を規制します
2-7 玉掛け用ワイヤロープのはずれを防止する
 「2重ワイヤロープはずれ止め(オプション)」

 ねじれが加わった玉掛け用ワイヤロープがたるんだときでも、外側のはずれ止めがワイヤロープのフック先端への乗り越えと入り込みを防ぐことで、つり荷の落下など、予期せぬ事故を防止します(図9)。
2-8 フロントブーム走行で車検登録ができる
 「フロントブーム架装ユニッククレーン」

 トラックの前方の突出量は法令で1m 以内と定められており、「走行時ブーム後方」で登録された車両は、ブームを前方に格納すると1m を超えてしまうおそれがあります。また前後の軸重が変わってきます。自動車検査証記載の車両の全長や軸重は、「車両の使用のための作業に安全である」ための基準であり、走行時は必ず車検取得時に定められた方向にブームを格納する必要があります。
 同じく、トラックのショートキャブ車では、前方1m を超えてしまうため、クレーン架装位置を車両後方へ下げなければ、フロントブーム走行で車検登録はできませんでした。
 ショートブームを採用したフロントブーム架装ユニッククレーンは、フロントブーム走行で車検登録できます。荷台に高さのある積載物も積載が可能にもなりますし、最大積載量がアップするといったメリットもあります(図10)。
 


3 おわりに
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 ところで、古河ユニックは古河機械金属グループの一員です。その古河機械金属の淵源は、足尾銅山の経営にあります。
 銅山では、かつて「安全専一」の表示板(図11)を掲示し、従業員に安全意識を根付かせ、安全活動を推進してきました。なお、安全専一は、工事現場や工場で表示されている「安全第一」の前身であり、日本の産業界における最初の安全運動の始まりと言われています。
 古河ユニックに所属する筆者は、これからもこの歴史に恥じぬよう、労働災害「ゼロ」を目指し、安全性が高いクレーンを提供し続けたいと思います。
 (注)「 安全専一」は古河機械金属株式会社の登録商標です。
 


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