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JIS では,つま先の防護性能の違いによって,以下の4種類に区分されている。
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U 種: 超重作業用(重量物の衝撃エネルギーが100J を超える作業)
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H 種: 重作業用(写真2,重量物の衝撃エネルギーが70Jを超え100J以下の作業)
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S 種: 標準作業用(写真3,重量物の衝撃エネルギーが30Jを超え70J以下の作業)
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L 種: 軽作業用(重量物の衝撃エネルギーが30J以下の作業)
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最も防護性能の高い超重作業用のU種や重作業用のH種は,構造上先芯が厚くなり,靴底も厚く硬くなるため,靴全体の重量が重く,底が曲がりにくくなってしまうことと,近年は作業環境が改善されてきたことから,超重作業用と重作業用はあまり使用されなくなってきている。
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現状,市場で履かれている安全靴の70%以上は普通作業用のS種であり,残りの20%程度が軽作業用のL種であるので,超重作業用のU種(U種商品は,現状ではほとんど市場に流通していない)と重作業用のH種は,合わせてもほぼ10%以下にとどまっている。では,最も普及している普通作業用のS種安全靴については,つま先の防護性能どの程度なのか。
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次項では,JISで規定されたつま先の防護性能を示す尺度の耐衝撃性能と耐圧迫性能について,説明していく。
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2.1 つま先の耐衝撃性能
つま先の耐衝撃性能は,20kgのくさび型重錘を保護性能区分ごとに規定された高さ(表1)からつま先部に自由落下させたとき(写真4), サイズ毎に規定された先芯と中底のすき間寸法(全保護性能区分共通)以上であることが求められる。
すき間寸法は,つま先内に油粘土を設置し,衝撃を受けた後の油粘土の高さで評価する。
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表1 衝撃試験条件
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| 保護性能区分 |
重錘落下高さ |
つま先部が受ける衝撃エネルギー |
| U種 |
102cm |
200J |
| H種 |
51cm |
100J |
| S種 |
36cm |
70J |
| L種 |
15cm |
30J |
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2.2 つま先の耐圧迫性能
つま先の耐圧迫性能は,つま先部を一定速度で圧迫(写真5)していき,保護性能区分ごとに規定された荷重(表2)まで到達したとき,サイズ毎に規定された先芯と中底のすき間寸法(全保護性能区分共通)以上であることが求められる。すき間寸法は,つま先内に油粘土を設置し,荷重をかけた後の油粘土の高さで評価する。
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表2 圧迫試験条件
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| 保護性能区分 |
つま先部にかける荷重 |
| U種 |
15±0.1kN |
| H種 |
| S種 |
10±0.1kN |
| L種 |
4.5±0.04kN |
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2.3 つま先の防護性能に関する留意事項
普通作業用のS種安全靴の耐衝撃性能は,分かりやすく言うと,20kgの荷物を地面から膝の高さ程度まで持ち上げたものの,手が滑ってつま先に落としたという状況を想定したものである。
なお,普通作業用のS種安全靴の耐圧迫性能はつま先部に約1トンになるまで荷重をかける試験方法であるため,「安全靴は,1トンのものが落ちても大丈夫」という誤解をしている方がいるが,これは大きな間違いである。
安全靴の各つま先防護性能の種類ごとに防護性能の限界があり,安全靴は決して万能の防護性能を持ってはいないことを認識し,適切な種類の安全靴を選定することが重要である。
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