(1) 遮熱塗装
太陽の赤外線は物体に当たると,熱エネルギーに変化するが,ヘルメットの表面に遮熱塗料の塗膜を作ることにより,この赤外線を効率的に反射して,内部の温度上昇を抑えることができる。
この試みは平成19(2007)年頃から始まり,その後,普及が進んだ。現在,ヘルメットメーカー各社が採用しているのは概ね,反射拡散のための遮蔽材に酸化チタンを用いた塗料である。
塗布する遮熱塗料は遮熱性能が高ければ高いほど良いのだが,実際にはヘルメットに用いることができる塗料は限定される。一般にヘルメットの帽体に用いるポリカーボネートやABS樹脂は溶剤に侵され易い特性がある上,塗膜により衝撃吸収性能を悪化させる場合がある。さらに,塗布によって帽体の経年劣化が促進する可能性もある。
そのため,当社では遮熱塗料の選定にあたって,慎重に検証を行っている。
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(2) 遮蔽材の帽体への練り込み(遮熱加工)
近年,ポリカーボネートやABSといった熱可塑性樹脂に遮蔽材を練り込んで帽体を成形することができるようになった。
当社の場合,現時点で遮熱加工ヘルメットの帽体色はほぼ白色のみに限定されるが,遮熱塗装と同等の遮熱効果があることを確認している。遮熱加工は塗装するよりも製造コストが下がったため,普及し易い価格で提供できるようになった。
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(3) 遮熱ヘルメットの遮熱効果
遮熱効果は帽体の材質によって差があるが,ここではポリカーボネート製ヘルメットに用いた場合の実験結果について説明する。
図1は,遮熱塗装したヘルメットと未塗装のヘルメットに対して熱源照射を行い,帽体内部の温度変化を示したものである。
熱源は300Wのハロゲンランプで,それぞれ30cmの距離から照射した。試験帽体は当社製品(PC製のST#142型)で色は白,測定位置は頭頂部の帽体内の表面である。
この実験では,遮熱塗装を施すことで,帽体内部の表面温度が9.4℃下がった。
なお,遮熱ヘルメットは太陽光線を反射するため,帽体内部の温度が下がるだけでなく,外側表面の温度上昇も抑える。そのため,炎天下で帽体表面を触ってみると,その温度が上がらないことで,内部の遮熱効果を実感することができる。
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(4) 帽体色による遮熱効果
炎天下の駐車場で,黒と白の自動車の車体を触り比べると,熱さが異なることに気が付くが,ヘルメットでも帽体色によって内外の温度に差が生じる。
図2,3は(3)と同じ条件で,白,黄,緑,青4色の遮熱塗装なし,ありのヘルメットの帽体(FRP製のST#108型)を試験した結果である。
遮熱塗装を施していない帽体では,白色が30分経過後に73.6℃であったのに対して,青色では91.1℃にもなった。このように,濃色のヘルメットを白色に替えるだけで,炎天下での有効な熱中症対策になる。
遮熱塗装を施した帽体でも同様に,白色が60.6℃,緑色では78.8℃となった。
従って,遮熱塗装を施していない青色ヘルメットから白色の遮熱ヘルメットに切り替えると,30.5℃も下がる効果が期待できることになる。
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(5) 遮熱シール
前述のとおり,溶剤や塗膜がヘルメット本来の衝撃吸収性能に悪影響を及ぼす可能性があるため,使用者自身で遮熱塗料を塗布してはならない。
もし,遮熱塗装(加工)していないヘルメットを購入後に遮熱効果を得たい場合には,市販の遮熱シールを帽体の内側に貼るとよい。
当社の「ヘルピタ」(ST#1906)(写真1)は元々,建材用の熱貫流抵抗シートで,太陽の輻射熱をポリエチレンクロス層を通過する際に低減させた後,アルミニウム層で反射させることにより,帽体内部の温度上昇を抑制する。
遮熱効果が高く,内装体と衝撃吸収ライナーが取り外せるヘルメットならば,どれにでも貼ることができるのも便利である。
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