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防護手袋
spacer.gif 日本防護手袋研究会
アトム㈱ 営業本部 営業推進室
朝比奈智
はじめに
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 防護手袋は、保護手袋とも言われ、作業者の手・手首上部を、熱、振動、切創、電気、化学物質等の危険・有害因子(リスク)から守る目的で作られた手袋である。
 防護手袋は、危険・有害因子(リスク)毎に、JIS、ISO、EN等の規格に基づき選択、使用、保守管理を行う必要が有る。
 


1 一般作業用手袋
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1.1 定義
 作業者の手や手首上部の切創防止等の災害から守る目的で作られた手袋。
1.2 用途
 作業者の手や手首及び腕部の汚れ防止の他、軽い切り傷防止や手の滑り防止、火傷防止等で使用する。
1.3 種類
  1. 綿製手袋
    1. 綿製手袋  :純綿手袋、混紡手袋等
    2. 合成繊維手袋:ナイロン、ポリエステル、アクリル等
    3. 加工手袋  :ゴム引き手袋、ゴム張り手袋、すべり止め手袋等
  2. 革製手袋
    1. 本革手袋:表革が牛革、豚革、山羊革、鹿革等で作られている
    2. 床革手袋:牛の床革(表革以外)で作られている
1.4 留意事項
  1. 綿製手袋、合成繊維手袋は、薬品や溶剤が浸透しやすいため、これらを取り扱う作業では使用しない。
  2. 合成繊維手袋は、熱により溶融し火傷を負う恐れが有るため注意が必要である。
  3. 固定式の回転体に労働者の手が巻込まれる恐れがある時は、手袋を使用させてはならない。
 


2 防振手袋(JIS T 8114:2007)
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2.1 定義
 鉱業、林業、土木建築業、製造業などの事業場において工具、機械などから作業者の手に伝わる振動(周波数範囲31.5~1,250Hz)を軽減するために使用する手袋。
2.2 用途
 チェーンソー、削岩機、グラインダー、コンクリートブレーカー等の取り扱い、その他振動にさらされるおそれのある作業に使用する。
2.3 種類
  1. 発泡ゴム方式(写真1
    振動吸収材に発泡ゴムを使用した防振手袋。
  2. ジェルパッド方式(写真2
    振動吸収剤にスポンジ、ジェルパッド等を使用した多層構造の防振手袋。
2.4 留意事項
  1. 綿手袋を二重にしても効果はほとんどないため使用してはならない。
  2. 衝撃吸収材が、適切な位置に有る事を確認する。
  3. 衝撃吸収材が、変形、破損した物は交換する。
 


3 耐切創手袋(EN388:2016)
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3.1 定義
 作業者の指や手、手首上部(腕を含む)を切創から守るために作られた手袋。
3.2 用途
 刃物、薄型鋼板等を扱う等、作業者の指や手、手首上部に切創の生じるおそれのある作業に使用する。
3.3 種類
  1. パラ系アラミド繊維手袋
    耐切創性に優れているが、強酸、強アルカリにより劣化する(写真3)。
  2. 超高分子量ポリエチレン手袋
    耐切創性、耐候性に優れ、酸、アルカリにも安定している。溶融温度が低いため高温の物質の取り扱い、火を伴う作業には使用できない(写真4)。
  3. 鎖手袋br> 高い耐切創性を有しているが、作業性がよくない(写真5)。
3.4 留意事項
  1. 食品を取り扱う作業等では、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒、滅菌が可能な超高分子量ポリエチレン手袋を使用するのが望ましい。
  2. 食肉解体のように鋭利な刃物での力仕事には、鎖手袋の使用が望ましい。
  3. EN388:2016に規定されているカットレベル(耐切創性能)により、作業の危険度に合わせた適切なカットレベルの耐切創手袋を選択する必要が有る。
    カットレベルには2種類の試験方法がある。
    Coupe Test:1~5にクラス分けされ、数値が大きいほど耐切創性能が高い。
    TDM Test:A~Fにクラス分けされ、Fに近づくほど耐切創性能が高い。
 


4 電気絶縁用手袋(JIS T 8112:2014)
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4.1 定義
 電気回路作業で、作業者の手や手首部等を感電から守るために使用する手袋。
4.2 用途
 電気絶縁用手袋は、300Vを超え7,000V以下の電気回路作業に使用する(写真6・7)。
4.3 種類
 電気用ゴム手袋は、最大使用電圧によりクラス分けが行われている。
 また、絶縁性能を担保するために耐電圧試験を行っている(表1)。
注) 電気絶縁用手袋保護用手袋は電気絶縁用手袋の外側に着用し、ゴム材等を保護する手袋で主に豚革、鹿革、その他にウレタン製の手袋がある(写真8
表1 最大使用電圧による手袋の種類
手袋の種類(クラス) 最大使用電圧(V) 耐電圧値(V)
J00交流又は直流3001,000
J0交流600又は直流7503,000
J01交流又は直流3,50012,000
J1交流又は直流7,00020,000
4.4 留意事項
 電気絶縁用手袋は6ヶ月以内毎に定期自主検査を行い、その結果を3年間保管しなければならない。検査項目は、耐電圧試験、傷、ひび割れの有無等。
 


5 化学防護手袋(JIS T 8116 2005)
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5.1 定義
 有害な化学物質のばく露による皮膚障害や、皮膚吸収による健康障害から作業者を守るために使用する手袋。
5.2 用途
 有害な化学物質を取り扱う作業、有害なガス、粉じん等にさらされる場所における作業。
5.3 種類
  1. 特殊フィルム製手袋(写真9
    材質の異なるフィルムを多層構造とし耐透過性に優れているが、機械的強度が弱い。
  2. ニトリルゴム製手袋(写真10
    耐薬品製、耐油性、耐摩耗製に優れているが、酸・アルカリにより劣化する。
5.4 留意事項
 化学防護手袋を使用していても、化学物質の種類によってはゴムやビニールを通り抜けて(透過)、作業者の指や手の皮膚等に障害を与えるので適したものを使用する。
5.5 化学防護手袋に必要とされる性能
 耐浸透性能、耐劣化性能、耐透過性能
  1. 浸透
    化学防護手袋の開口部、縫合部、多孔質材料及び不完全な部分などを通過する化学物質の流れ。
  2. 劣化
    化学物質との接触によって、化学防護手袋材料の1種類以上の物理的特性がする現象。
  3. 透過
    材料表面に接触した化学物質が、吸収され、内部に分子レベルで拡散を起こし、裏面から離脱する現象(図1
5.6 化学防護手袋の選定と使用
 化学防護手袋は、有害な化学物質毎に耐浸透性能、耐劣化性能、耐透過性能を考慮し選定する。また、耐透過性能(時間)を基に作業時間を設定するし、有害な化学物質の手袋内部への侵入を防ぐ必要がある。
 化学防護手袋の選定と使用に関しては、「皮膚障害等防止用保護具選定マニュアル」を参照されたい。
 


おわりに
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 様々な危険・有害因子(リスク)に対して保護具のみでの対策を行っている事業所が見受けられるが、保護具は、危険・有害因子(リスク)に対して工学的対策、作業方法の見直し、ばく露時間の短縮等を行った後、残留リスクに対して使用するべきである。
 


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